佐倉市は、06-10年度を計画期間とする「佐倉市水道事業実施5カ年計画」を策定した。同計画では、建設改良事業で、石綿セメント管の更新事業に事業費約40億円、各浄水場の設備更新に事業費約40億円の総事業費約80億円を投入する計画。石綿管の更新では、毎年6-8kmの更新を計画的に進め、11年度の完了を目指す。また、浄水場については、06年度から4か年計画で、志津、南部、上座の各浄水場の受変電設備、運転操作、監視、自家発電設備、配水ポンプなどの各設備を更新する。
同計画による5か年の事業運営方針は、<1>サービス供給の在り方と再検討<2>民間委託・経営基盤の強化の推進<3>透明性の高い企業経営の推進<4>給与、定員管理の適正化、の4つを基本に事業を展開する。
また、事業計画は、<1>将来需要予測<2>財政計画<3>主要施策<4>未整備地域解消問題<5>地域水道ビジョンの策定で構成する。将来需要予測は、1999年度をピークに減少傾向にあるとして、日量最大1万8000立方m程度までまかなえる見通し。また、財政計画では5か年で、総事業費約100億円を超えるため、企業債も必要最低減発行し、計画的に進める。
以下、同計画による主要施策などの概要は次の通り。
【主要施策】
▽原水・浄水施設=95-00年度にかけて整備した遠方監視制御システムにより水源井の効率的な運用が可能となった。また99年-04年度に進めてきた水源井更生工事により取水能力の向上を図った。これらにより水源井の効率的な運用が可能となり、印旛郡市広域市町村圏事務組合用水供給事業からの受水は、10年度までは日量最大1万8000t程度とし、受水費による経費の増加を極力抑えていく。各浄水場の設備が20年余りを経過し更新の時期を迎えている。設備の老朽化は機能低下及び不具合の発生も見られ、重大災害が懸念される。また耐用年数の短い電気設備等は補修部品の確保も難しい状況となっている。このことから06年度から建設改良事業として改修に着手する。
▽配水・給水施設=水道施設管理情報システムの整備充実を図り維持管理の効率化を進める。漏水事故は老朽管更新事業が進んだ結果減少傾向にあるが、宅内漏水については増加傾向にある。これらについては業務委託により対応しているが、コスト比較やサービス水準の検討を行いながら、より良い委託形態を検討していく。また02年度から5カ年計画で進めてきた八幡台地区鉛給水管の改修事業は計画通り06年度に完了する。
▽料金徴収業務=水道メーター検針から水道料金収納、転居時の受付・開閉栓・精算業務まで一括業務委託をしている。今後もサービス水準の維持向上に努めながら、競争原理が機能するよう委託先の定期的な見直しを行うとともに、コスト比較やサービス水準の検討を行いながら、より幅広い委託を検討していく。水道料金収納についてはこれまで金融機関もしくは委託先営業所のみに限られていたが、利用者の利便性向上のためコンビニエンスストアでの収納を検討していく。またクレジットカードやインターネット等利用者にとってより便利な支払い方法の研究を進める。
【付帯事業】
付帯事業として、浄水場跡地を利用し佐倉市大蛇町地区に一般市民向けの有料駐車場を設置した。これにより年間150万円あまりの収益をあげている。今後も積極的に未利用資産の有効利用を図り収益の確保を図る。また佐倉のおいしい水を広く市民にPRするとともに一般飲用、災害備蓄用として地下水源の原水をペットボトル化することを検討する。さらに収益増加に資するため一般販売も併せて検討する<5>建設改良事業:石綿セメント管等老朽管を耐震性に優れたダクタイル鋳鉄管への布設替えを進めていく。石綿セメント管更新については95年度から市一般会計からの出資を受けて進めてきた。04年度末残延長が約43km余り、総延長に占める割合は約6%となっている。毎年約6-8kmの更新を計画的に進め、11年度完了を目標に進めていく。06年度からの事業費は約40億円を見込んでいる。また、前述したように83-85年に整備した浄水場設備が20年を経過し老朽化が進んでいる。志津、南部、上座各浄水場の配水施設に係る受変電、運転操作、監視、自家発電、薬注、配水ポンプの各設備を06年度から4カ年計画で更新していく。事業費は総額40億円を見込んでいる。
【未整備地域解消問題】
佐倉市における水道の普及率は95%を超えるまでになっている。今後さらに普及を進めていくためには、多額の資金を要することから水道事業単独で進めていくのは困難であり、市の支援(市一般会計の負担))が必要不可欠となる。また地域住民と連携して各地域の実情に応じたきめ細かな検討を加えていく必要がある。
【地域水道ビジョンの策定】
04年6月1日、厚生労働省が水道ビジョンを発表した。21世紀中頃を見通した中で概ね10年間で取り組む目標、解決すべき諸課題についての対応が掲げられている。05年10月17日には、この提言を受け各事業体に対して地域水道ビジョンを策定するよう通知した。水道ビジョンに網羅した諸課題について、それぞれの地域・事業体の実情に応じて適切に対処すること、需要者のニーズに対応した信頼性の高い水道を構築し次世代に向けて継承していく事が求められている。これらをふまえ、将来にわたり安全・安心な水を安定して提供可能な水道サービスの充実を図るため地域水道ビジョンの策定に取り組む。