埼玉県造園業協会(阪上清之介会長)は2日、さいたま市内の埼玉県県民健康センターで、自由民主党造園業振興懇話会(会長=小島信昭県議会議員)4人の同席のもと、県関係7部局長に要望活動を行った。造園工事や緑地維持管理業務委託の発注に、総合評価方式の活用を求めたほか、県内造園企業が担い手確保や経営の安定化を図るため、大径木化した樹木更新の施策化や専門資格の活用など、さまざまな施策を要望した。
当日は協会から、阪上会長、西山敏治副会長、三枝和男副会長、深野弘副会長らが出席。また、造園業振興懇話会からは小島会長、鈴木正人副会長、田村琢実副会長、神尾髙善幹事長が同席した。
あいさつで阪上会長は「われわれの協会は、埼玉県の緑化行政とともに育ってきた団体。協会をあげて技術力や安全面の向上に努めているが、仕事がこれだけ減少すると苦しい。われわれの窮状をご理解いただき、緑が日本一豊かな県を目指して尽力する所存」と協会の現状に理解を求めた。
小島会長は「緑が大切だとういうことをもう一度再認識してもらうために、公共事業で率先して、緑のさらなる利活用を推進してほしい。われわれ懇話会も協会の皆さま、県職員の皆さまと一緒になり、緑豊かな潤いのある埼玉実現のために、力添えしていきたい」と述べた。
県を代表して県土整備部の吉澤隆部長は「造園業協会をはじめとした現在の建設業では、担い手不足が大きな課題となっている。県では、建設現場の就労環境改善を図り、皆さまの取り組みを支援していきたい。公園、街路樹、緑地などの整備・維持管理には、皆さまのこれまでに培われた技術、経験等がこれからも必要不可欠」と協力を呼び掛けた。
その後、三枝副会長が要望内容を説明した後、それぞれの部局長が回答した。
部局別の要望要旨は次の通り。
【総務部】
▽最低制限価格の引き上げ▽市町村の入札制度へ一層の改善支援
【環境部】
▽全国都市緑化フェアの本県での再開催▽ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現へ、土壌改良や在来種の植栽など造園業の知識や経験の活用
【産業労働部】
▽本年度技能検定3級実技試験受検手数料の減免措置の継続と2級への対象拡大
【農林部】
▽2027年国際園芸博覧会出展に向けた県内材料・技術の活用
【県土整備部】
▽大径木化した街路樹の樹木更新施策化促進。その際、グリーンインフラの視点採用▽道路・河川の緑地維持管理業務委託の複数年契約促進▽造園工事・緑地維持管理業務委託発注における総合評価方式活用▽造園工事の品質確保促進へ街路樹剪定士・植栽基盤診断士の活用▽緑地維持管理業務委託を埼玉県県土づくり優秀委託業務(課所長)表彰対象に▽請負代金額500万円以上の造園工事の成績評定徹底▽河川敷の樹木伐採工事は安全施工の観点から造園工事として発注を
【都市整備部】
▽大宮スーパー・ボールパーク構想実現への加速と県内造園技術の活用▽落札者決定に当たり品質の向上と担い手確保の観点から、造園工事と緑地維持管理業務委託の発注に総合評価方式の活用▽県営公園内の大径木の伐採・更新の施策化並びに病害虫対策促進▽緑地行政の公園行政との一元化▽指定管理者の審査基準(指定管理料)の見直し▽請負代金額500万円以上の造園工事の成績評定徹底
【企業局】
▽田園環境と調和した産業団地整備事業に当たり造園工事業の技術力維持と次世代への技術継承の観点も踏まえ、植栽工事の分離分割発注