足利市の三栗谷用水土地改良区は、高松地区県営圃場整備調査計画事業の要望書をまとめた。対象面積は東武鉄道伊勢崎線沿線北側に広がる農地140ha。調査計画期間は2025~28年度の4年間を想定。調査計画事業費は約9700万円(うち市負担額約3800万円)を見込んでいる。市は9月補正予算案で地形図作成委託料1114万8000円を措置。28年度末に県が事業計画を策定し、29年度に国の事業採択を目指す。
三栗谷用水土地改良区の百頭・県地区(64・1ha、百頭町、県町、羽刈町)は24年度に国の事業採択を受け、県が農地中間管理機構関連農地整備事業に着手した。水田63・8ha、畑0・3haを整備。百頭・県地区は伊勢崎線の南側、高松地区は北側に当たる。
高松地区の土地所有者は約300人、耕作者は133人。権利者の合意形成が得られたため、8月には市を通じ県に事業同意書添付の「県営農業農村整備事業調査計画実施依頼書」を提出した。順調に推移した場合、26年度から県安足農業振興事務所が調査を開始する。
一帯は北側を東西に走る国道50号と南側を東西に走る東武伊勢崎線に挟まれた農業振興地域内農用地区域の優良農地。西側は南北に走る主要地方道足利邑楽行田線に接し、東側は愛宕台中学校を避けるよう面積形状を計画。正確な地形図を作成し、調査に備える。
大型機械に対応した圃場の大区画化や農地の集積と集約を図り、農業経営の安定合理化と所得向上を目指す。併せてスマート農業に対応し、市南部地域農業の持続的発展につなげる。一帯の農地は約70年前に圃場整備を実施。水田の標準区画は10㌃と手狭。
事業計画策定に先立つ調査では基礎調査、概略測量、計画設計、概算事業費算定、費用対効果の分析、事業計画概要書を作成するのが一般的な流れ。整地、用排水路、道路を更新する。市は事業採択から2年経過後の31年度の着工を見通す。
先行する百頭・県地区のケースを例に標準区画1haは必要とし、露地栽培はネギやタマネギといった作物への転換を奨励。市総合計画では一帯を効率的で安定的な農業経営と産業振興への土地利用転換を図ると明示。近隣では複数の産業団地が操業中または整備中。