「自分が見ることになる範囲が飛躍的に大きくなった。いままで省全体を見る仕事は何度もあったが、これまでとは違うレベルでの重責を感じている」と話す。
今後の社会資本整備については「安全安心だけでなく、成長に寄与するストック効果という面も大事。自然災害リスクやインフラの老朽化もある。中長期的な見通しを持って、計画的かつ戦略的に行うことが極めて重要」。さらに「地域の将来像を踏まえつつ、防災対策や経済成長に必要なものを重点的かつ着実に整備をしていきたい。またハード・ソフト一体の事前防災を強化して、効率的・効果的に推進していく」と述べる。
インフラ老朽化への対応は「定期的に点検や診断を行って、緊急度に応じて対策を講じる予防保全型メンテナンスへ転換を加速するべき」。また「延命化だけではなく、集約・再編も検討して適正化を進めていく必要がある」と見ている。
インフラ分野におけるDXについては「施工とデータ連携と施工管理の3つの柱で建設現場のオートメーション化を進めていく。またデジタル技術を駆使することで、インフラの潜在的な機能を最大限に引き出し、安全で持続可能なインフラの管理運営を実現する。さらに国、地方、民間のデータを連携させることで、業務の効率化、施策の高度化、イノベーションの創出を実現していく」。
国土形成については「社会的、経済的な機能が分散的に配置される国土構造を実現する。そのために陸海空それぞれの基幹インフラの整備を着実に進める」ことで、人流物流の活性化、地方創生、経済成長などの実現を図る方針を示す。
住宅建築物の脱炭素化も推進する。「新築住宅の省エネ基準適合が全面的に義務化されたが、2030年までに基準を引き上げる。消費者が省エネ性能に着目して住宅を選択できる環境を整えていく」。
建設産業については「働き方改革を実現することが、持続的な発展を目指すうえで大事。長時間労働を前提としない適正工期の徹底やICTの活用で、効率的で生産性の高い施工を行う必要がある。国民生活を支える重要な役割を担っていけるよう、業界と一体となって取り組む」と話す。
【略歴】みずしま・さとる 1986年運輸省採用。国土交通省鉄道局長、大臣官房長、国土交通審議官などを経て7月1日から現職。東大法学部卒。62歳。京都府出身。