全国建設業協会(全建、今井雅則会長)がまとめた2025年度発注関係事務の運用状況などに関するアンケート報告書によると、直近1年間に民間工事または下請として工事を受注する際、98・5%が発注者や元請会社などに対してほぼ見積書を提出していることが分かった。このうち73・8%が見積書提出の際、資材価格などの高騰のおそれがある旨(おそれ情報)を通知している。
直近1年間で、契約後に労務費や資材価格が上昇した場合、契約変更協議を申し出ると、国土交通省は96・2%が円滑な変更協議を実施。これに対して、都道府県・政令指定都市10・5%、市区町村24・4%、民間については3割強の34・1%で協議が行われていない。
労務費や資材価格上昇分の変更協議が行われず、国土交通省で10・8%が3割以上原価を下回る契約となった。都道府県・政令指定都市14・7%、市区町村17・8%、民間発注者17%が3割以上原価を下回る契約だった。
また資材価格の高騰など急激な物価変動を受け、全体の27・1%がスライド条項の適用を申請し適用、62・7%は申請をしていない。発注者別では、国土交通省で51%が申請し適用され、都道府県・政令指定都市36・4%、市区町村21・2%、民間発注者9・8%がそれぞれ申請し適用となった。
スライド条項適用の申請に当たり、公共工事では38・8%が発注者との協議など事務作業の負担が大きいと回答。提出を求められる書類が多い35・5%、スライド条項における事業者負担(1%)34・1%、スライド条項を申請したことがないため不明22・3%と感じている。
民間工事では、契約書にスライド条項がない16・8%、特に問題と感じていることはない14・3%、工期が短くスライドの対象にならない12・4%の回答だった。