中野洋昌国交相と建設4団体による意見交換会が、11日に国土交通省内で行われた。この会合は、2月に石破茂首相と4団体による車座対話を行った際の『賃金おおむね6%引き上げ』に関する申し合わせについて、進捗状況を確認する場として開かれたもの。会では各団体に所属する建設企業の現状における施工余力や生産性向上への取り組みについても説明が行われた。
建設4団体からは、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の各正副会長が出席した。
意見交換では、国交省の楠田幹人不動産・建設経済局長が公共事業の執行状況や賃上げ施策、CCUSの利用状況や今後の利用拡大について説明した。また建設業における働き方改革、ICT導入支援制度についても話した。小林賢太郎大臣官房技術審議官は働き方改革や熱中症対策、インフラ分野のDXについて説明した。
日建連の宮本洋一会長は「技能労働者1人あたりの建設投資額は大幅に減少」と述べ、施工余力があることを説明した。賃上げ、生産性向上などの取り組みも紹介した。
全建の今井雅則会長も「施工余力がある」と説明。賃上げは9割の企業が行ったが、6%以上引き上げた企業は2割と少ない状況を伝え、「十分な労務費を確保した受注ができていない。さらに設計労務単価を引き上げてほしい」と話した。生産性向上は9月24日に計画を決定させて実行していくことを明らかにした。また「ICT機器を手に入れる費用が足りない」として、支援拡充を求めた。
全中建の河﨑茂会長も施工余力に問題ないことを述べた。一方で賃上げについては「8割の企業が行ったが、6%以上賃上げした企業は6%程度」。生産性向上は「なかなか進まない」と話した。
建専連の岩田正吾会長は、若者が入職してこない現状を全国的な課題としつつ、「施工余力は問題ない」。さらに入札について「価格よりも『質』を重視するようにしてほしい」と述べた。
中野国交相は「施工余力に問題ないことを確認できた。賃金引き上げや生産性向上についても取り組みを確認できた。持続的な発展には賃上げや働き方改革が不可欠。少ない人数で安全に快適に働けるようにしたい。今後も皆様と連携していきたい」と話した。
◎猛暑は働くか休むか
会合で、中野国交相は『猛暑における対策』を質問。これについて建専連の岩田会長は「8月は建設業の夏休みとして閉所すべき。他産業にない働き方改革に取り組んでほしい」と提案した。全建の今井会長も「7月から8月の半分は働きたくても働けない。働くと休むのメリハリをつけられるようにしてほしい」と述べた。一方、日建連の宮本会長は「夏は休むというのも一つの案だが、いまは酷暑期間が長い。夏は朝早く出て午前だけ働くなどの方法もあるのではないか。日建連としても検討していく」と述べた。全中建の河﨑会長は「現状の働き方であるならば、目に見える形で夏期の労務単価引き上げをしてほしい」と訴えた。
◎外国人との共生も
中野国交相は『外国人材活用・共生』についても意見を聞いた。日建連の宮本会長は「外国人排斥を懸念している。少子化で外国人に頼らざるを得ない状況であり、どう共生するか国レベルで考えるべき」と述べた。建専連の岩田会長は「適正な数の外国人を呼ぶようにしなければならない。スキルアップに向けた土木・建築・ライフラインの流動化も図るべき」と話した。