内閣官房水循環政策本部事務局は12日、災害時における地下水等活用推進に向けた有識者会議を国土交通省内で開催した。会議ではガイドライン改訂に向け、新設井戸の整備について意見交換を行った。事務局では12月にとりまとめる考え。
会議は、能登半島地震において水インフラの被害で断水が長期化する中で、一部地域では井戸水の有効活用が確認されたことを踏まえたもの。2024年度には実態調査や自治体ヒアリングなどを行い、25年3月に『災害時地下水利用ガイドライン』を作成した。
同ガイドラインは自治体を対象に、災害用井戸の取り組み方法に関する手順書として位置付けている。対象は井戸・湧水で、生活用水としての使用を目的とする。内容は▽登録制度導入の検討▽登録に関する取扱要領の策定▽登録制度導入後の留意事項―。
今回の議論では、ガイドラインにおいて公共による新設井戸に関する記述が少ないことから、新設井戸の整備が必要なエリアの抽出方法、抽出エリアにおける新設井戸整備の適否を検討する方法、新設井戸を整備する際の手順・手続き・留意事項について検討した。
新設井戸の整備が必要なエリアとしては、給水施設から遠い地区、長期の断水が懸念される地区などが示された。新設井戸整備の適否については、地下水を取水できるか確認する必要性を共有。整備手順については地質調査・掘削・水質検査の各業者との連携の必要性を確認した。
ガイドライン改訂では、こうした議論についても記載することとしている。10月には素案、11月には改訂案を作成し、12月に公表する予定。