埼玉県測量設計業協会(及川修会長)は9日、埼玉県関係部局長との意見交換会を、さいたま市内のさいたま共済会館で行い、埼測協の要望に対し県側が回答した。その中で、県が昨年度から埼玉県GISとしてオープンデータ化した河川や道路などの3次元点群データを、より実効性のあるデータと利活用促進のため、県と協会の定期的な協議の場の設置を求めたところ、県も前向きに応じた。また県は、今年1月に八潮市内で発生した道路陥没事故を受け、事故発生当事者県として、地下インフラの早期データベース化実現に向け取り組んでいく姿勢を示し、埼測協にも協力を呼び掛けた。
この意見交換会は、8月5日に及川会長ら協会幹部が県土整備部の吉澤隆部長を訪れて提出した知事への要望に対する回答が行われるとともに、関係部局長が出席して県の本年度事業や予算の概要説明や意見交換が行われ、情報や認識を共有する重要な場となっている。当日は協会側から及川会長、副会長の笠原俊也氏、遠藤秀徳氏、小山祥史氏、さらに理事、監事の役員のほか、顧問を務める県議会議員の田村琢実議員、小久保憲一議員が同席するなど19人が出席。県側は吉澤県土整備部長、竹詰一農林部長、伊田恒弘都市整備部長、小島茂企業局長、吉田薫下水道局長、小島孝文契約局長といった関係部局長や担当課長ら14人が出席した。
意見交換は、埼測協の間正良昭総務委員長の司会により進行。冒頭のあいさつで及川会長は「昨今、経営環境が厳しい中、変革する技術革新に対応するため技術の研さんに努めるなど鋭意努力を重ねており、会員の技術力も特段に充実したものと確信している。要望内容は継続して要望している内容もあるが、徐々に改善傾向にある」と感謝の言葉を述べた。続けて「今回の意見交換では、三次元データで作成した熊谷県土整備事務所、中川下水道事務所、県道地下埋設物の三次元データの動画を作成し、見ていただく。ぜひ、地下埋設部の三次元データ作成の際は当協会員の活用をお願いしたい」と述べた。
県側を代表して吉澤部長は「本日出席している各部局は、インフラ整備に向けて公共事業を執行していかなければならない。実施にあたり、受注者側の安定経営や良好な労働環境が必要。そのために昨年度から発注の前倒し等に取り組み、平準化に努めている。皆さまの業務は、公共事業の第一段階の非常に重要な部分を担っている。その後の積算や工事の出来ばえも左右する重要な業務」と業務の重要性を強調した。
◎地下インフラの早期
データベース化取組
最初に関係部局から、本年度の当初予算概要について報告があった後、協会からの要望に対し、県側からそれぞれ回答があった。主な回答の要旨は次の通り。
▽協会員の優先活用について→県は公共事業の執行にあたり埼玉県公共事業等施行方針を定め、県内企業にできることは全て県内企業に発注することを基本とし、県内企業の受注機拡大に努めている。
▽国土強靱化への積極的な取組について①国土強靱化に伴う電線地中化等の業務分離発注→入札における公平性や競争性の確保される範囲内で、適正な発注規模を勘案しつつ、可能な限り分離分割発注を行うよう努めていく。
▽同②オープンデータ化した成果の利活用に向けた取組について。県と協会の間で定期的に協議の場を設け、意見交換や情報共有したい→インフラデータは現場の状況に合わせて変わっていくもので、より鮮度の高いデータに更新していくことが重要だと考えている。また利用者側のニーズを把握することも重要視しており、3D点群データをダウンロードする人にはウェブ上でアンケートに答えていただき、利用目的などを聞いている。協会皆さまとは定期的に協議の場を設けて、より利便性の高い情報データ化に努めていきたい。
▽同③道路地下埋設物の3次元データ整備について。長年にわたり道路台帳整備に携わってきた実績を有する当協会員を優先的に活用してほしい→それぞれの埋設物の位置情報等を集約・統一化し、1つのベースマップで管理することが重要。まずはベースマップとなる道路台帳の電子化のスピードアップを図りながら進めていきたい。また、占用者が保有する埋設物のデータは各社独自の形式で管理されていることから、道路台帳に反映させるための互換性が課題になると認識している。道路台帳整備に精通している協会皆さまには技術的な見地から助言してほしい。事故当事県である県として、地下インフラの早期データベース化実現に向け取り組んでいきたい。
▽入札制度について①委託業務最低制限価格の引き上げ→国の動向を踏まえ、適切に対応していく。
▽同②発注上限2000万円まで全て指名競争入札で→適正な履行の目安となる成績評定の結果を調べたところ、一般競争、指名競争とも同水準だった。今後も入札の執行状況を注視していく。
▽同③測量業務の諸経費の改正→国の積算基準に準じて県も毎年改定を行っている。意見交換等を通じて、国に働きかけを行っていく。
▽災害復旧支援に際し、契約中の通常業務履行期間の柔軟な対応について→業務設計変更ガイドラインに基づき受注者と協議のうえ対応することとしている。担当者によって対応しないことのないよう周知していく。今後も災害復旧支援を優先して、契約中の業務に対応していく。市町村に対してもさまざまな会議の場を通じて周知していく。