国土交通省が公表した2025年7月1日時点の都道府県地価調査結果によると、全国の地価は全用途平均・住宅地・商業地いずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大した。景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている。
住宅地は、住宅需要が堅調で地価上昇が継続している。特に大都市圏の中心部などにおいて高い上昇を示している。リゾート地では、別荘・コンドミニアムや移住者、従業員向けの住宅需要を背景に高い上昇地点がある。また子育てしやすい環境が整備されて転入者が多い地域でも、堅調な住宅需要により高い上昇となっている。
商業地は、主要都市で店舗・ホテルなどの需要が堅調。オフィスも空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向で収益性が向上し、地価上昇が続いている。マンション需要との競合がある地域、インバウンドが増加した観光地も高い上昇を示している。再開発事業が進む地域は、利便性やにぎわい向上への期待感から、地価上昇が継続している。
三大都市圏では、全用途平均・住宅地・商業地いずれも上昇が継続し、上昇幅が拡大した。地方圏では、全用途平均・住宅地・商業地いずれも3年連続で上昇した。
工業地は、大型物流施設用地に対する需要を背景に、高速道路へのアクセスが良好で労働力を確保しやすい地点で上昇が継続。このほか大手半導体メーカーの工場進出地域は、関連企業含めた従業員向け住宅需要、関連企業の工場用地や事務所・ホテル・店舗の需要が旺盛。このため住宅地・商業地・工業地ともに高い上昇となった。能登半島地震で大きな被害を受けた地域では、地価下落が継続しているが、下落幅は縮小している。