松戸市は、8月22日に公表した総合医療センター経営再建方針で、現在の600床規模について「過大」との認識を示した。東松戸病院および梨香苑の閉鎖に伴い計画している別棟建設の可否を含めて検討し、病床規模の見直し・適正化を図る方針だ。9月から12月にかけて経営再建に向けた具体的取り組みの検討を進め、2026年1月の総合政策会議に報告。2月の病院事業経営改革委員会、3月の地域医療構想調整会議を経て、年度内に具体的な再建策を市議会へ説明する。
総合医療センターは、千駄堀993―1の敷地面積5万5750・13㎡に所在。
新型コロナウイルスの影響で患者数が回復せず入院収益が低迷しているほか、大幅に増加した人件費と物価高騰の影響により、24年度の経常収支は41・2億円の赤字となった。現行のままでは、26年度以降に現金残高が枯渇する恐れがある。
別棟の建設は、24年3月の東松戸病院および梨香苑の閉鎖に伴い、緩和ケアおよび人間ドック機能を総合医療センターに引き継ぐもの。当初は25年9月15日までに工事を完了し、10月の供用開始を予定していた。
別棟は、S造一部RC造地上4階・塔屋1階建て、建築面積1080㎡、延べ床面積3630㎡の計画。施設構成は、緩和ケア病床20床、外来手術室、緩和ケア外来、事務室・更衣室、(仮称)予防医療センターなど。
24年3月19日に「総合医療センター別棟建設工事」の一般競争入札を公告したが、開札前に入札参加業者が辞退した。辞退した参加者へヒアリング調査を実施したところ、労務単価や物価の高騰により、予定価格以内での入札が困難との回答があった。公告時の予定価格は22億9600万円(税抜き)。
8月1日に「経営再建プロジェクトチーム」を設置した。今後は外部の専門家も交え、別棟建設を含む病床規模の見直しのほか、人件費の抑制と適正配置の推進、県や近隣市との連携強化による広域医療体制の構築、独立行政法人化や民営化を含めた最適な運営形態の検討を行う。
松戸●政市長は「総合医療センターは市民の命を守る最後の砦。経営再建は避けて通れない課題だが、単なるコスト削減ではなく、持続可能な医療体制の確保を最優先に取り組む」と述べた。
※●は「隆」の旧字(右下の生の字の上に一が入る)