柏市は、柏病院の現地建て替え工事費が約293億円まで増加したことを受け、基本設計の見直しを進めている。当初の基本設計では事業費約225億円を見積もるとともに、工事を2期に分ける計画で、約6年間の工期を確保していた。しかし、工事費の高騰により建て替え後の負担が大きく、持続可能な病院経営が極めて困難となることから、施設規模の変更および既存病棟を活用する計画に見直し、工期の短縮を図る方針だ。
基本設計の見直しに際しては、基本設計を取りまとめた梓設計のほか、市職員、病院スタッフに加え、施工予定者の戸田建設などの協力を得ながら、関係者全員で可能な限り工事費を抑制できるよう検討を進めている。
新病院に求められる役割や、強化する機能については可能な限り残すことを基本としている。患者の利便性、スタッフの働きやすさ、経営への影響などを踏まえながら、建物配置案、工事計画、既存病棟の活用、建物内の諸室の見直しによる面積の削減など、あらゆる可能性を模索する。
運営面においては、人件費や光熱費などの高騰に伴う費用の増大に対して診療報酬が十分でないこと、新型コロナウイルスの影響で患者数が回復せず全国の病院の経営状況が悪化していることから、地方自治体の努力のみでは持続可能な病院運営が困難な状況となっている。このため、国や県に対して、病院経営の財政支援や診療報酬の改定を要望している。
柏病院は、布施1―3に所在。敷地面積は約3万7700㎡。地域の急性期医療を担う中核病院として位置付けられている。
当初は、2026年1月に着工し、29年3月上旬頃に病棟、31年9月下旬頃に外来棟の供用を開始。既存建物の解体および外構工事を含めて32年11月頃の完成を予定していた。
規模などとして▽病棟=S造7階建て、建築面積約2600㎡、延べ床面積約1万5400㎡▽外来棟=S造3階建て、建築面積約2200㎡、延べ床面積約5600㎡▽院内保育所棟=軽量S造平屋建て、建築面積約150㎡、床面積約150㎡――を計画していた。
工事費は、23年4月策定の基本計画で約132億円を見込んでいたが、24年7月策定の基本設計で約225億円、25年1月の施工予定者選定時には約293億円まで増加した。
6月開催の第2回定例議会に上程した病院事業会計において、基本設計見直しに伴う委託料1億5000万円を増額。また、基本設計の見直しに伴い、実施設計に係る総額3億5000万円の2か年継続費を3か年継続費に変更した。