甲州市は市営温泉「大菩薩の湯」(同市塩山上小田原)について、2026年度から5年間に予定する修繕工事の費用が8400万円になるとの試算を明らかにした。ただ金額の根拠となる現況調査を実施したのが22年3月と約3年半前のため、近年の物価高騰を踏まえ1億円以上になる可能性が高い。
施設は1998年8月に開業。木造平屋(一部2階)建てで、延べ床面積は本館棟745㎡、温泉棟537㎡。敷地面積は8422㎡。甲州市ー丹波山村などを結ぶ国道411号沿いにあり、地元住民や観光者の憩いの場として親しまれてきた。
市は今後予定する修繕箇所について、給排水衛生設備や外装、電気設備などを挙げた。修繕費については「近年の燃料費、資材費等の物価高騰や人件費の高騰、さらに突発的な修繕箇所の発生などを考慮すると、さらなる増加も想定している」という。
現在の指定管理者は株式会社大菩薩。22年度に3度目の公募で事業者に決まり、25年度末で指定期間が終了する。市は次期指定期間をこれまでの3年間から5年間に延長。指定管理料の上限を5500万円に設定し、現在事業者を公募している。
施設の24年度の利用者数は約5万5000人で収支は527万円の赤字だった。甲州市公共施設等総合管理計画では、同施設について51年度までに民間へ譲渡する方針を示している。市は民間譲渡に向け使用料改定による収支バランスの確認や計画的な修繕などにより、施設の経営を安定させるとしている。
9月市議会では中村 勝彦議員が施設の管理運営について質問。鈴木幹夫市長は今後の施設のあり方について「民間を考えながら進めていく」と民間譲渡を模索するとし、経営状況は厳しいものの「閉館させるようなことはしない」と、施設の存続を明言した。