阿智村にある小中学校の将来的なあり方を議論してきた検討委員会(岡庭潤委員長ほか19人で構成)はこのほど、最終答申の骨子案をまとめた。人口減少や財政面から中学校1校と小学校5校を従来体制のまま維持することは困難であり、「中長期的には義務教育学校として1校に統合することが費用対効果に優れた選択肢」とした。統合新築にかかる費用については、約17億円との試算を示した。
検討にあたっては「全て存続する」A案、「義務教育学校を新設し、浪合小と清内路小は、小学4年生までを対象としたサテライト校(分校)とする」B案、「義務教育学校を新設し、小中全校を統合する」C案―の3つの案で比較検討を行った。B、C案については、阿智中の校地・校舎を主に活用し、必要に応じて教室や施設を増築および用地確保することを前提とした。
40年の長期累計費用試算を比較した場合、A案が217億5000万円、B案が149億6000万円、C案が89億4000万円。A案は「新築は不要だが、長寿命化工事費・補修費が継続的に発生する」、B案は「大規模新築は回避可能だが、本校整備・サテライト維持には投資が必要」、C案は「既存中学校施設の活用により新築費用の抑制が可能で、再編効果との両立が図れる」とした。
総合所見ではC案について「費用対効果に優れた持続可能な選択肢。再編による混乱を最小限に抑えるためには、地域との丁寧な対話や合意形成、移行期間中のきめ細かな支援が不可欠」とした。
骨子案は10月21日まで意見公募を実施中。これと並行して地区懇談会を開催しており、この意見を集約し、本年度内に教育長へ最終答申を行う。次年度以降は具体的な計画づくりに移るが、教育委員会は「26年度予算で構想策定費等を要求するかは未定」と話した。