千曲川・犀川における流域治水のさらなる推進を目的に、流域内の市町村長や国、県などが参加し議論する「信濃川水系(信濃川上流)流域治水協議会」の全体協議会が2日、県庁で開催された。信濃川水系緊急治水対策プロジェクトの事業期間について、27年度から31年度まで延長することを説明した。
同プロジェクトの事業期間が延長となったのは、中野市上今井遊水地の事業完了時期を31年度出水期前までに変更したことが主な要因。同遊水地容量確保のための掘削土砂330万m3の有効活用先として、上今井左岸地区の埋立計画地における施工方法などの検討および地元調整を行った結果、24年度内に埋立計画地の地権者の同意が得られ、土砂有効活用のための調整が整ったことから、全体の施工計画や事業期間について検討した。
掘削土砂330万m3の搬出先は上今井左岸地区への埋立が面積約24ha、埋立土量が約200万m3。他の遊水地(蓮遊水地等)や飯山MIZBEステーションへの運搬・搬入土砂量が約130万m3。これらへの運搬や搬入計画、盛土や埋立の施工計画について詳細な検討、それに伴う遊水地の掘削や掘削土砂の改良の施工計画を見直し。そのほか、遊水池全体の各種施設の施工計画も検討した結果、同プロジェクトの事業期間は31年度末、目標達成時期は31年度出水期前に変更することとなった。
同遊水地の掘削工事は本年度から着手。その1工事(河川土工一式:掘削4万4000m3、土砂等運搬4万4000m3、土砂攪拌・混合(3種)一式:土砂攪拌・混合(3種)7万3000m3、仮設工一式)は加賀田組(新潟市)、その2工事(河川土工一式:掘削3万8000m3、土砂等運搬3万8000m3、土砂攪拌・混合(3種)一式:土砂攪拌・混合(3種)6万4000m3、仮設工一式)は飯島建設(長野市)、その3工事(河川土工一式:掘削8万5000m3、土砂等運搬8万5000m3、地盤改良工一式:安定処理工(セメント土質改良)5万8000m3、土砂等運搬5万8000m3、仮設工一式)は植木組(新潟県柏崎市)が担当。27年度末までに110万m3を掘削し、段階的な供用開始を目指す。
そのほか、囲繞提や周囲提工事に取りかかっているほか、排水樋門その2工事(河川土工一式、路体(築堤)盛土8000m3、水路工一式、根固めブロック(製作、運搬、据付)一式、法覆護岸工一式、大型ブロック張1113㎡、仮橋工一式、仮橋設置1基、仮設工一式)を公告中。
■佐久市桜井遊水地は31年度完成予定に
また、県事業で今年1月の全体会議で事業期間精査中としていた、千曲川上流の佐久市桜井遊水地については、事業期間を31年度までと説明。現在は地元説明会を行っている段階で、用地取得や工事の時期などは決まっていないとした。
24年9月には、同プロジェクト全体事業費の見直しを実施。21年4月改定時の1866億円(国:1227億円、県:639億円※長野県と新潟県合わせて)から、2865億円(国:2226億円、県:639億円)と999億円を増額した。
千曲川河川事務所の浅見和人所長は「河川整備にあたっては流域を俯瞰し、各地域の地形と特性を踏まえ、各種治水方策をフル動員した整備内容となっている。これまで実施した効果は順次発揮できている。しかし、全体進捗は当初より時間を要している。そこで、工期短縮可能な工法や対外的な調整を行っている。今後も事業の早期完了や段階的な効果発現に向け、丁寧に説明しながら着実に進めていきたい」と述べた。