十四年十二月からのダイオキシン排出基準の強化に備え村内のごみ処理施設の対策措置を検討していた山中湖村は、従来の焼却・埋め立てによる一般廃棄物の処理方式を廃止、ごみを資源化し再利用を図る「循環型処理方式」に転換する方針を固め、新たに固形燃料化(RDF)施設と高速堆肥化施設を建設する構想を打ち出した。計画によると、現在、平野地内にある村クリーンセンター敷地内に新たにRDF施設と、堆肥化施設を建設。同センター内で現在稼動中の焼却施設から処理法を切り替える。施設の規模等は現時点では未定だが、建設費は十億円規模7444にのぼるものと予想される。
村では来年度から、国の補助認可に伴う計画書の作成など新施設建設の準備にかかる予定でおり、十三年度の建設着手を目指す構えだ。RDF化施設については、甲南衛生事務組合が九年度に建設した前例があるが、堆肥化施設を含めた「循環型処理方式」の導入は県内の自治体で初となる。
同村では現在、村内のごみ処理を、平野地内にある村クリーンセンターで賄っている。同センターは、焼却炉二基(日量四五t)で、平成三年度から稼動を開始。既存の焼却施設は、調査の結果、十四年度から強化されるダイオキシンの新たな排出基準を満たしていないため、何らかの対応が急務となっていた。このため、村では既存の焼却炉の改修や、新たな焼却炉の建設などを含め対応を検討していたが、従来の焼却方式では、施設の新設や改修は、基準が強化されるのにあわせて改修が必要となり、長期的に見て運営・管理の面でのコスト負担が大きい。また最終処分の受け入れ先の確保も今後さらに困難が予想されることから、ごみを再資源化し、利用を図る新たに「循環処理方式」を導入することを決めたもの。
新たな処理方式では、可燃ごみを固形燃料化する「RDF化施設」と、生ごみなどを有機肥料に替える「高速堆肥化施設」を核施設に位置付け、既存のクリーンセンター敷地内に新たに両施設を建設する。RDF施設から出る固形燃料は、村営の温泉施設や「フローラルドーム」などで暖房用燃料として活用。一方、堆肥化施設で作られる有機肥料は村内の農家に提供し利用してもらう。これにより、村から出る事業系、家庭系のごみを同センター内でほぼ完全に受け入れすることが可能で、資源化・処理から再利用のサイクルを村内ですべて賄うシステムを構築することで、高熱費や肥料代などの節減にもつながるとしている。
新施設の整備は、十四年度の稼動を目指し、今後、事業化にむけた準備が進められることになるが、ダイオキシンの排出、最終処分場の確保難、ごみ処理費用の増大などが社会問題化するなか、県内初の循環型処理施設として注目される。