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那須烏山の宮原・下境、小山市押切、防災集団移転 国交相同意

2025/10/16 栃木建設新聞

 那須烏山市宮原と下境両地区、小山市押切地区の防災集団移転促進事業が国土交通大臣同意を取り付けた。那須烏山市は2019年東日本台風被害、小山市は15年関東・東北豪雨被害を契機に計画を立案。激甚頻発化する自然災害に備え、災害の恐れのある地域から安全な区域への移転を促す持続可能な都市構造再生への道が動き出す。那須烏山、小山の両市とも総事業費約20億円を見込んでいる。

 那須烏山市の事業計画は宮原が34戸、下境が先行する道那須黒羽茂木線西側の23戸が移転戸数。事業内容はいずれも住宅団地造成(約8700平方m)と移転元地の買い取り・建物補償。宮原の事業期間は25~31年度、総事業費約13億円。下境は25~30年度、総事業費約7億円。市は住民に今後の進め方や整備内容などを順次説明し、工事に向けた準備を進めていく。

 宮原地区は宮原公民館北西の高台に住宅団地の造成を計画。民有地のため市が用地を取得し団地を造成する。

 下境は旧境小学校の跡地に市が住宅団地を造成する。県道東側の36戸の事業化については、先行する西側の進捗状況を見ながら検討していく。

 市は今後、大臣同意の内容を住民に説明し、25年度内に住宅団地の設計を完了させたい考え。下境の住宅団地は早ければ26年度にも着工する可能性がある。

 今年3月までに宮原は20戸、下境は県道西側の14戸がそれぞれの地区で整備される住宅団地への移転を希望していた。

 大臣同意は14日付。市は那珂川を管理する常陸河川国道事務所と連携協力しながら事業を進めていく。

 小山市の1級河川杣井木川流域排水強化対策は、押切地区から東方10㎞圏の県道大戦防小山線に隣接する県営塚崎団地跡約1ha。市は近く住宅団地整備その1、配水管布設の一般競争入札を公告。年明けには住宅団地整備その2の公告手続きに入る。

 住宅団地整備その1は敷地造成一式、道路築造延長402m、下水道管布設延長379m、貯留浸透施設9カ所。配水管布設は開削延長300m。住宅団地整備その2は道路築造延長402m、緑地整備619平方m、貯留浸透施設8カ所、ブロック整備一式。

 市施行の住宅団地は5戸以上で移転対象戸数の半数以上の住宅団地への入居が必須。対象戸数約30戸のうち、半数が移転を表明。一部は複数世帯住宅を分離し、個別の戸建て住宅を希望。一定のコミュニティは確保できた。残り半数は別の場所に移転の方向。

 1戸当たりの敷地面積は330平方m。個々の敷地面積は一律である必要はなく、移住者の希望で330平方m以上でも以下でも差し支えない。平均面積が330平方m以内に納まれば問題はなく、移住者が求める敷地面積の自由度は比較的高い。

 移転完了目標は2029年度。移転先は市有地だけに、用地取得の必要がなく更地化済み。逆コの字型の土地形状を成し、付近は住宅街が広がり商業施設が多数立地。生活利便性が高く、落ち着いた住環境。1級河川思川東側に位置し、過去の内水被害はゼロ。

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