県総務部は16日、2025年度第2回行政改革審議会を県庁本庁舎5階特別会議室(オンライン併用)で開催し、行財政改革計画の改訂原案を提示した。計画原案では、県有建物長寿命化計画で整備計画Ⅱ期に位置付けた62施設について着実に整備を推進することとし、着手施設数の目標(累計)に25年度31施設、26年度45施設、27年度62施設を設定。25~28年度における一般会計の歳出の見通しとして、県有施設の老朽化対策に係る経費などを盛り込んだ「その他県民サービス等事業費」に総額3兆1998億円を試算。このうち、「県有施設長寿命化対策事業」は総額3095億円となっている。
今後、会長の石川久・元淑徳大学コミュニティ政策学部教授から熊谷俊人知事に対して答申する。計画については、委員から寄せられた意見および答申の内容を踏まえて検討・修正を行い、熊谷知事を本部長とする庁内本部会議に諮った上で決定する。
改訂原案のうち「行財政改革指針」においては、公共施設などの老朽化対策および防災・減災対策、成田国際空港・首都圏中央連絡自動車道・北千葉道路やこれらにアクセスする道路の着実な整備などに取り組んでいくため、新たな改革が必要とした。
行財政改革の理念として「時代の変化に対応した県民視点の県政を実現」を掲げ、「県民から信頼を得られる県庁」「多様な人材が活躍できる魅力ある県庁」「スマートで機能的な県庁」「市町村とともに自治を担う県庁」を方針に定めている。
持続可能な財政構造の確立に向けては、将来の発展に向けた社会資本整備を行い、経済を活性化させることで税収の増加につなげる好循環を生み出していく必要がある。こうした投資を着実に行うため、将来負担にも留意しながら建設地方債を効果的に活用する。
公共施設の老朽化対策に当たっては、将来の人口減少や人口構造などの変化にも対応しながら着実に進めるとともに、今後の景気動向に伴って財政状況が悪化する場合に備えるため、県有施設長寿命化等推進基金や財政調整基金などの確保を図る。
老朽化が進む道路・河川などの社会基盤施設や県有建物の長寿命化を図るなど資産マネジメントを適切に行うことで、維持管理のトータルコストを縮減し、将来負担の軽減に努める。
また、25~28年度を期間とする「行財政改革行動計画」では、資産マネジメントについて、老朽化した施設の計画的な建て替え・改修や予防保全型の維持管理、省エネ・再エネの導入、ZEB化、照明のLED化などを進めることでトータルコストを縮減するとともに、出先機関などの集約化や統廃合による建物の総量縮減などに努めるとした。また、公共施設を活用したさらなる民間活力の導入についても検討していく。
公共施設などの総合的・戦略的なマネジメントに関し、個別施設計画などに基づき老朽化した施設の計画的な予防保全型の維持管理などを実施するほか、県有建物長寿命化計画における整備計画Ⅰ期の施設の大規模改修・建て替えを進めるとともに、整備計画Ⅱ期の62施設について着実に整備を推進。整備計画Ⅲ期の65施設に関しては、着実な整備に向けて検討を開始する。
整備計画Ⅱ期の着手施設数の目標(累計)として、25年度31施設、26年度45施設、27年度62施設を設定した。
計画期間中の、一般会計ベースの歳入・歳出の見通しを参考として示した。歳出のうち、「その他県民サービス等事業費」は、25年度8258億円(うち、県有施設長寿命化対策事業524億円)、26年度7921億円(同672億円)、27年度7873億円(同834億円)、28年度7946億円(同1065億円)の見込み。
進捗状況を報告/県庁舎等再整備
県庁舎など再整備に関する検討状況を報告した。
県庁舎などの再整備に際しては「県庁舎等再整備基本構想・基本計画検討会議」(座長=柳澤要・千葉大学教授)を設置している。
9月2日の25年度第1回会議では、県庁舎敷地内にある5棟の建物の整備手法について、本庁舎を「大規模改修」、中庁舎・議会棟・南庁舎・南庁舎別館を「建て替え」とする方針を示した。
今後は、検討会議で議論を重ね、各建物の一体的かつ効率的な再整備に向けて県庁舎などのあり方や具体的な整備方針を示した基本構想・基本計画を26年度末をめどに策定する。
審議会委員の遠藤雅彦・オープンハウスグループ顧問(元東京都総務局長)は「『高すぎる』『豪華だ』『必要ない』という意見が出てくるかもしれないが、必要な初期投資をしなければ後になって財政負担が生じる。それをまた先送りにしていくと、いざというときに機能せず、災害時に動かないというようなことが起きる」と警鐘を鳴らした。