県道路保全課は、宇都宮市花房1丁目の国道119号花房アンダーの冠水調査に着手する。昨年8月29日の集中豪雨で路面が冠水。片側通行の交通規制を実施した。9月補正予算に調査費1000万円を配分。冠水容量に応じたポンプの増設や機能向上、排水側溝の断面拡幅や流末の確保、水位センサー、電光掲示板による路面冠水表示板、監視カメラとエアー遮断器設置など必要な対策工法を検討し後年度の詳細設計に備える。
花房アンダーは東武鉄道宇都宮線をアンダーパスする立体交差で1971年に整備した。車道より高くなっている西側歩道脇に排水ポンプ場を設置し雨水を強制排水。排水ポンプは耐用年数に基づき定期的な更新や修繕を実施している。
調査は過去の冠水履歴に加え、ゲリラ豪雨に代表される降雨強度に対応できる排水能力を確認。花房アンダーのポンプは毎分3立方m。国は気候変動による降雨量の増加に伴い、現行の整備水準のままでは安全度が低下することを想定し21年度に雨水管理総合計画策定ガイドラインを改定した。
県土整備部が管理する冠水の危険性がある道路アンダーは29カ所。08年鹿沼市道0017号線が東北自動車道アンダーパスで車両水没による死亡事故が発生。
一般的にアンダーパスに雨水が集中し水深が30㌢を超えると、マフラーから水が入りエンジンが停止する危険性が高くなる。水深50㌢では車体が浮き上がり、ドアよりも高くなると車内が浸水し生命の危険性が増す。
県や市町は08年の事故を受け全アンダーのポンプ設備、排水路(流末)などの状況を再確認する緊急点検を実施。流末が詰まるなど問題のあった箇所について早急に是正した。
事故発生後の緊急的なハード対策では道路利用者への「注意喚起看板」や路面冠水時に水位がわかる「冠水チェックライン」、各アンダーの混同を防ぐ「アンダー銘板」を設置。路面冠水2㌢で「通行注意」、7㌢で「通行止め」が表示され、板状に設置している回転灯が点灯する。
14年には主要地方道足利環状線山川アンダーで車両水没事故が発生。アンダーと同位置に設置していた排水ポンプや自家発電機、冠水通報装置などの制御盤を格納した機械室が浸水し故障した。
県は山川アンダーの事故を受け、再被災防止の観点から機械室が地下に格納されているアンダーを調査。対策が必要なアンダーの機械室・ポンプ場の地上化やエアー遮断器の設置など継続的に実施している。