国土交通省は16日、建設分野における外国人材の確保・育成のあり方について、有識者で構成する検討会の第4回会合を同省内で開いた。検討会では2027年度育成就労制度施行を見据え、11月に分野別運用方針の案を作成する。会合では、外国人材の中長期的なキャリアパスについて、また地域社会での共生を重要視し、生活者としての外国人支援について議論した。
これまでの技能実習制度は、27年度に人材確保・育成を目的とする育成就労制度に変わる。これに伴い、産業所管省庁ではキャリア形成も考慮した分野別運用方針を策定する。分野別運用方針は12月閣議決定を予定。建設分野でも特定技能制度との連携を図りつつ、外国人材がキャリア形成できる制度づくりが急務となっている。
会の冒頭、楠田幹人不動産・建設経済局長はあいさつで「建設業界において必要な人材を確保するためには、特定技能制度や育成就労制度を活用して外国人材を円滑に受け入れることが重要。それと合わせて受け入れた外国人材の育成を図っていくことが大事。外国人材の中長期的キャリアパスの構築に向け、さまざまな観点から意見をいただきたい。昨今、外国人との秩序ある共生への関心が高まりを見せている。建設業界においては、国内での人材確保や生産性向上にしっかり努力することが基本だが、それでも足りない部分については外国人材を受け入れることにしている。その際には地域の理解を得て共生することが不可欠。取り組みをしっかりとやっていけるようにしていきたい」と述べた。
会合では、キャリア育成プランにおけるインセンティブ付与について議論。各団体が職種別にキャリアアップのロールモデルを作成し、個々の企業で育成プランを立てることなどが議題となっている。
地域社会での共生については、建設業界における優良事例の横展開を後押しする方法で取り組みを考えている。有識者は昨今の外国人政策の動向を考慮し、外国人材が地域に溶け込んで共生すること、特に「日本語能力がすべての前提」という視点で、生活者として困らないための配慮が必要との考えを示している。