益子町は図書館の基本設計を月末、実施設計を年内にもまとめ2026年秋までの着工を目指す。図書館は町民センター敷地内の中央公民館・町民会館南側駐車場への増設棟建設と既存施設改修で一体的に整備。概算工事費は増設、改修合わせ約17億円。26年度当初予算に2カ年の継続費を設定する見通し。図書館は27年内の完成予定。外構工事、図書入れ替え、書架配置など開館準備に半年の期間を見込み、28年春の供用開始を予定している。
概算工事費の内訳は増設棟が約13億円、既存施設改修が約4億円。基本計画時は増設棟9億円、既存施設改修2億6300万円を試算。物価高の影響や老朽化した電気系統更新によるキュービクル増設などで5億円程度上昇した。
増設する図書館はRC造一部S造2階建て延べ約1500平方m。1階に閉架書庫と事務スペース、開架作業スペース、移動図書館車庫などを配置。2階は開架書庫。一角にサイレントスペースやティーンズスペースなどを設ける。
中央公民館・町民会館は延べ約800平方mを改修。既存の図書室をキッズルーム、資料展示室を学習など多目的に利用できるフリースペースにリノベーション。新たに空調も設置する。また、増設図書館との間接連絡通路でつながるロビー西側も改修する。
エントランスは2カ所。メインを増設部分2階に設け、付近には返却ポストや自転車置き場を配置。駐車場は建物西側に約60台分を整備。連絡通路の既存施設西側には階段を設け2階にアクセスする。
コンセプトは「里山にたたずむ本の蔵」。町生涯学習課によると、増設部分と既存施設の一体運用で多世代が多目的に利用でき交流が図れることが強み。内装には町産のスギや桐、県産材を天井ルーバーと書架に活用。外壁や洗面器には益子焼を使用する案も出ているという。
蔵書数は開架書庫7万冊、閉架書庫4万冊の計11万冊が目標。運営は町の課題に臨機応変に対応できる公営で検討している。
中央公民館・町民会館は1988年3月の完成。築37年が経過し老朽化が著しい。改修では施設全体のLED化や延焼ライン内の防火設備化も行う予定。
財源は国の都市構造再編集中支援事業を活用。事業費の上限50%が補助される見込み。
基本・実施設計は三上建築事務所(水戸市)が担当。富山県の砺波市立砺波図書館や神奈川県の海老名市立有馬図書館改修、石川県の野々市市文化交流拠点施設学びの杜ののいちカレードなど多くの図書館を手がけている。