洋菓子メーカー「不二家」(東京都文京区大塚2丁目、河村宣行社長)は、野木町野木の野木工場を拡張する。拡張用地は既存工場西側の道路を挟んだ市街化調整区域6万8506平方m。県に開発行為許可申請し受理された。地域未来投資促進法に基づく土地利用調整計画では2031年12月までに他工場からの移管を終え、生産性向上や高付加価値化による新市場創出、既存製品の価値向上に取り組む。未来投資法活用による開発行為は県内初。
新工場・守衛室は1万4392平方m(43・1%)、乗り入れ口(駐車場含む)9994平方m(29・93%)、緑地緩衝帯7580平方m(22・7%)、歩道825平方m(2・47%)、通路457平方m(1・37%)、道路用地142・66平方m(0・43%)。
新工場は2階建て延べ1万5955平方m、守衛室は49・5平方m、雨水貯留槽・浸透槽は2169平方m、避難空地は1011平方m、機械室・地下ピットは195平方m、防火水槽は47平方m(40立方m)、受水槽は32平方m。屋根には太陽光発電設備。
町は23年6月、野木工業団地西側の第1種農地(3万9243平方m)を地域未来投資促進法重点促進区域に設定した。計画地はJR宇都宮線野木駅から南方約2㎞、国道4号からは東方約1・5㎞、新4号国道からは西方約9㎞に位置する。
不二家は横浜市で1910年に創業以来、115年の歴史を刻む老舗。69年7月に野木工業団地に進出し、町で56年間にわたり洋菓子を製造する。全社的に生産分担の再構築を検討し、老朽化した工場の統合を視野に野木工場の拡大を計画した。
県産イチゴを使用した商品を開発し地域に貢献。全国各地の工場菓子生産を集中移管する。町内に地域経済活性化に資する遊休地はなく、農用地区域を含む一帯の土地利用の同意を県から取得。区域内は道路、電気、水道が整備され、下水道は浄化槽処理が可能。
第8次総合計画キラリのぎプラン、国土利用計画町計画、町都市計画マスタープランでは既存の工業団地周辺を工業系土地利用誘導ゾーンに位置付けた。野木農業振興地域整備計画では地域開発構想の産業振興に貢献する優良企業誘致の例外規定を設けている。
不二家は資本金182億8014万円、正社員約1390人。24年12月期の売上高は単体822億円、連結1099億円。各府県の工場は野木、埼玉、平塚、秦野(神奈川)、富士裾野(静岡)、泉佐野(大阪)、吉野ヶ里(佐賀)、札幌、福島に9カ所を展開する。
地域未来投資促進法は、地域特性の活用による経済的効果に着目。用地買収や用地造成、施設建設は企業側の責任で実施。区域内の土地所有者は開発希望企業が現れない場合や事業計画が承認されない場合、現行土地の法令上の取り扱いに変更はない。