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千葉県県土整備部

県管理217河川が対象/優先整備の水系を抽出/治水あり方検討委設置へ/県県土整備部

2025/10/23 日刊建設タイムズ

 県県土整備部は、県管理の全217河川を対象として、河川整備基本方針や河川整備計画の策定・変更を行う場合の対象外力規模を定めるとともに、優先的に整備を行う水系を抽出する。関連して、21日に君津土木事務所が「県単河川調査委託(治水対策方針検討業務)」の総合評価方式一般競争入札を公告した。委託期間は2027年3月25日まで。検討に際しては、有識者の意見を聴取する場として「県管理河川における気候変動を踏まえた治水対策のあり方検討委員会(仮称)」を設置。同期間内に4回の会議を開催する想定だ。

 河川整備の基本的な考え方については、1998年に「水害に強い県土づくり検討委員会」による提言を受け、「時間雨量50mm」に対応する河川改修を早期に完成させることを目標としている。しかし、気候変動の影響により今後さらに水災害が激甚化・頻発化するとの予測を踏まえ、気候変動の影響を考慮した計画に見直す必要が生じている。

 また、3月には「東京湾沿岸海岸保全基本計画【千葉県区間】」と「千葉東沿岸海岸保全基本計画」を改訂し、気候変動の影響を踏まえた海面上昇量の考え方などを示した。

 さらに、それぞれの県管理河川において、整備計画の策定状況、河川整備の進捗状況、流域における市街化の進展・人口集積・経済動向・地域特性などさまざまな状況がある。

 こうした背景から、全ての県管理河川を対象に、河川整備基本方針や河川整備計画を策定・変更する場合の対象外力規模を設定するとともに、河川整備を優先する水系の抽出を行うこととした。

 検討業務の内容は、業務計画、水系の特性整理、先進事例の調査、検討対象河川の抽出、洪水および高潮・津波に対する基本方針および整備計画における対象外力規模の設定、洪水および高潮・津波を踏まえた優先河川の抽出・決定、気候変動を踏まえた治水対策のあり方の策定、有識者委員会の運営補助、照査、報告書の作成など。

 洪水については、全ての県管理河川を対象に検討。高潮・津波に関しては、下流端が海または海面と同等の流路に至る県管理河川全てを対象とし、既設護岸高さ、水門整備状況などを勘案し、検討が必要となる河川を抽出する。

 特性に応じて各河川をグループに分類し、グループごとに対象外力規模(整備レベル)を設定。

 洪水の対象外力規模は、年超過確率または時間雨量とし、気候変動の影響を考慮する手法について検討する。

 洪水・高潮の対象外力規模は、新海岸保全基本計画に基づくが、そのほか設定すべき規模があれば提案を求める。

 洪水および高潮・津波の検討結果に基づき、県管理河川全体を俯瞰し、優先的に整備すべき河川を決定する。さらに、有識者委員会の提言を踏まえて各種検討を取りまとめ、まちづくりや流域治水の取り組みなどを考慮し、気候変動を踏まえた治水対策のあり方を策定する。

 検討業務の入札参加資格は、県の建設工事等入札参加業者資格者名簿の土木関係建設コンサルタント業務に登載され、県内に本店または同資格者名簿に登載された営業所があり、過去15年間に国・県などが発注した一級河川・二級河川に係る河川計画もしくは治水計画に関する検討業務を直接受注し、履行した実績を有することなど。

 入札においては、11月7日に入札参加資格確認資料および技術資料の提出を締め切り、12月15日と16日に入札書の提出を受け付け、17日に開札する。

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