国土交通省が設置する中央建設業審議会(中建審)の『労務費に関する基準』ワーキンググループ(WG)が27日に開催された。会合では事務局が基準案を示し、委員の了承を得た。基準案は若干の修正をし、11月開催の中建審総会で審議する。
『労務費に関する基準』は、技能者の経験・技能に応じて適正な賃金の支払いが行われるよう、公共工事・民間工事を問わず、工事契約において適正な水準の労務費確保を目的とする。基準は職種分野ごとに具体値を設定し、発注者と元請、元請と下請などの契約において、適正な支払いが行われることを確保する。
職種ごとの基準値は、職種別意見交換を経た分野から適正な水準を順次算出しており、一部を残して12月上旬には公表する。『労務費に関する基準』の実効性確保については、専門工事業者向けに労務費等を内訳明示した見積書の様式例や記載要領を提示。技能者を大切にする企業の自主宣言制度も創設する。また労務費や賃金の支払いに関する情報開示への合意に関するコミットメント制度を導入。建設Gメンによる悪質事業者の見える化も実施する。
楠田幹人不動産・建設経済局長はWGの終わりに「基準は技能者処遇改善における新たなスタート。広く浸透するよう取り組んでいきたい」と話した。
同省では「労務費に関する基準の運用方針」「労務費ダンピングを防止するための公共発注者向けガイドライン」を新たに作成する。運用方針は11月にパブリックコメントを実施する。12月上旬にはこれらを公表する方針。

















