国土交通省は、有識者で構成する『今後の建設業政策のあり方に関する勉強会』について、10月6日に非公開で行われた第3回会合の議事要旨を明らかにした。テーマは『地域建設業のあり方』。経営安定化や経営者教育、業界構造について意見交換が行われた。
会の冒頭では、楠田幹人不動産・建設経済局長があいさつで「地域建設業は公共事業が占める割合が高い。投資力の小さい企業は生産性向上や従業員教育で課題を抱えている」と説明。「技術と経営に優れた企業が地域で評価される仕組みについて検討が必要」とし、地域建設業のあり方や生産システム合理化について議論を求めた。
議論では、地域建設業の経営安定化について「小口工事をまとめて発注するなどにより、ある程度の規模の会社に集約する必要がある。5年~10年単位のメンテナンス工事など中長期契約であれば経営的に安心できる」「全ての工事を大型化できるわけではない。小規模工事もあり得るため、全ての建設業者の規模が大きくなれば良いという話ではない」「M&Aやホールディングス化という規模の拡大は重層下請構造の改善やダンピング防止など意義がある。一方で、小規模事業者への影響を考える必要がある」などの意見が出た。
経営者教育については「組織運営の教育を受ける機会がなかった社長も多い。工業高校の教育プログラムに組織運営教育を組み入れるべき」「建設業は経営者であるという感覚を持つ人が少ないと感じる。きちんとした経営ができなければ利益も上がらず雇用も生まれない」などの意見があった。
業界構造については「小規模事業者は人手不足で従業員を職業訓練にも行かせられない。助成金の書類作成にも苦労している。国のサポートが必要」「小規模零細企業が圧倒的な数を占め、48万社が存在している業界のあり方に限界が来ている。個々の会社においてある程度の規模は必要」などの意見が出た。
このほか発注に関する事項として「政策的な誘導を考えるにあたっては、市場に大きな影響を及ぼす発注のあり方を議論すべき」「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)の推進を急ぐべき」との声があった。
同勉強会は建設業の今後の経営戦略について、多様な視点で検討するために設置。『2027建設業政策の原点』を掲げ、建設業のあり方や企業評価などについて議論を進める。会合は26年3月まで計7回を予定、同月にはとりまとめも行う。
勉強会の委員は次の通り。
【委員】
▽青木由行不動産適正取引推進機構理事長▽大森文彦弁護士・東洋大学法学部名誉教授▽大村駿日経BP日経アーキテクチュア編集長▽櫻井好美社会保険労務士法人アスミル代表▽堀田昌英東京大学大学院工学系研究科教授▽丸山優子山下PMC社長▽和田雅彦日本政策投資銀行都市開発部長

















