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栃木県鹿沼市

鹿沼市、IC西42haで基礎調査、新産業団地開発 29年度の着工目指す

2025/11/01 栃木建設新聞

 鹿沼市は、鹿沼インター産業団地西地区(仮称)基礎調査に乗り出した。計画地は国道121号さつきロードと都市計画道路3・3・201号流通団地東通りが交差する付近一帯の約42ha(深津、上石川)。基本計画説明書を作成し、着工に向けた諸課題を精査する。宇都宮~鹿沼間を連絡する有料のさつきロードは2026年3月18日から無料開放が決まっており、交通利便性向上を追い風に29年度の造成着工を目指す。

 23年度は民間事業者に対する東北自動車道鹿沼IC周辺の産業系土地利用検討に関するサウンディング型調査を実施。対話企業は「計画地は首都圏と東北地方を結ぶ中間地点であり、茨城や群馬両県への利便性を含め人気が高いエリア」と回答。

 参入意向は「開発投資額を踏まえ、将来的に採算性が見合えば進出が可能」「開発補助制度や税制優遇措置があれば一層参入がしやすい」「電気の供給量や豊富な水量、固い地盤といった分譲地の魅力があれば決め手となる」という意見が寄せられた。

 24年度の権利者調査外資料作成、25年度の基礎調査は個別に栃木都市計画センターに委託。25年度の基準点設置等現況測量は日昌測量設計に委託した。基礎調査は土地利用、交通網、供給処理施設、概算事業費、財源調整、土地価額の計画書を作成する。

 市内産業用地は24年夏の鹿沼インター産業団地(開発面積23・9ha、分譲面積17・8ha)の予約分譲を最後に完売。約120社が操業し、既存産業団地に空き区画はない。進出意欲の高い優良企業の受け皿を整え、近隣市町との企業誘致合戦に勝利する。

 北側は鹿沼工業団地に面し、さつきロードが南北方向に走る。南側は流通団地東通り(幅員25m)に接する。市街化調整区域で、さつきロード沿線西側は農業振興地域と農用地区域に指定。林地は開発の目的や森林面積によって開発後の森林率が規定される。

 市内で一定程度以上の産業用地面積を確保するには農用地区域を選定せざるを得ず、県内では複数自治体が農用地での産業団地整備計画を進めている。埋蔵文化財は確認されておらず、土地区画整理事業または全面買収方式での開発行為を検討する。

 一帯はものづくり企業が集積する鹿沼工業団地、木工のまち鹿沼を象徴する鹿沼木工団地、県内唯一の流通業務団地「とちぎ流通センター」に近接。鹿沼ICと宇都宮環状道路に約2㎞(約3分)、北関東自動車道壬生ICに約10㎞(約20分)でアクセスできる。

 第8次市総合計画(22~31年度)では産業用地の早期確保と企業誘致継続による雇用創出を掲げ、企業の立地ニーズに対応する適地創出を検討と明記。第2期市総合戦略(22~26年度)にも同じ文言を盛り込み、稼ぐ地域の実現を図ると踏み込んだ。

 恵まれた立地特性を生かし、人口減少の抑制と地域経済の活力維持、市税収入増による財政基盤強化につながる企業を誘致。将来のまちづくり、市の継続的な発展に産業団地は不可欠。市議会でも「産業団地の継続的な開発」は度々取り上げられている。

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