国土交通省は5日、有識者で構成する『今後の建設業政策のあり方に関する勉強会』の第4回会合を開催した。前回・前々回は大手および地域建設業のあり方について意見交換を行った。今回のテーマは、経営面から見た建設業における人的資源のあり方。人材の教育・配置・就業環境整備などについて議論した。
会の冒頭、楠田幹人不動産・建設経済局長はあいさつで「建設業が今後も地域の守り手として社会インフラを支えていくためには、担い手確保が喫緊の課題。そのために、賃上げなどの処遇改善、働き方改革、生産性向上が重要との認識のもと、担い手三法を改正し、労務費を行き渡らせる制度の具体化などに取り組んできた」と説明。そのうえで、高齢化や労働人口減少が進む状況の中で建設業を持続可能なものとするためには「人材確保だけでなく、教育、配置、就業環境整備などに関して、どのような取り組みを行っていくべきか、議論を深めていくことが重要」とした。
また建設業は工事の専門化・分業化、年間を通じた業務量の繁閑差といった特徴を背景に「重層下請構造が形成されている」とし、それが「建設業における人的資源のあり方をより困難にしている側面も否定できない」と話した。女性や若者に選ばれる業界のあり方を考えるには「DXの進展やAIの普及を前提として、どのようなスキルを有した人材が求められるかについて検討することが必要」と述べた。
同勉強会は、担い手減少や災害対応、AI・デジタル技術の進化などさまざまな課題や変更に直面している建設業の今後の経営戦略について、多様な視点で検討するために設置。『2027建設業政策の原点』を掲げ、建設業のあり方や企業評価などについて議論を進める。議論における視点は▽国民や社会からの信頼▽時代や社会の変化に合わせた生産システムの合理化―。会合は26年3月まで計7回を予定、同月にはとりまとめも行う。
同会では26年度、制度改正も視野に入れた検討を行う見通し。26年度の議論では、今回の勉強会でオブザーバーの立場にある日本建設業連合会や全国建設業協会など建設業団体も委員として参入することになる。


















