常陸太田市は、重点事業となる市道0139号線整備事業に関する進捗と今後の見通しを示した。10月末時点での用地取得率は約93%(面積ベース)、工事の着工率が約45%(延長ベース)。用地取得は土地収用法手続きを進めており、2026年度内には完了する見通し。事業費135億円を試算する(仮称)真弓トンネルについては、27年度の着手を予定。NATM工法を採用し、29年度の完成目標を見込んでいる。
市では、10月31日と11月1日に地域住民への進捗報告会を開催。延べ57人が参加し、整備効果や現在の進捗状況、今後の見通し、住環境への対策などについて詳しく説明した。
市道0139号線整備事業は、常陸太田市幡町地内を起点に、日立市金沢町地内の山側道路までを結ぶ全体延長5480m(うちトンネル延長2084m)で計画。全体事業費は約264億円(トンネル約135億円、橋梁約86億円)。
整備区分として常陸太田市が大部分の5030mを整備。日立市はトンネル東側から山側道路までの延長450mの整備を進める。
27年度からの着工を見込んでいる(仮称)真弓トンネルは、延長2084m、幅員6・5mの片側1車線、歩道なしを計画。工法には山岳部におけるトンネル施工で多く用いられているNATM工法を採用し、地山(周辺の岩盤)が持つ支持機能を有効に活用するとともに、吹き付けコンクリートなどにより地山の安定を確保しながら掘削を進めていくこととしている。
本年度には、トンネル坑口までの仮設道路の設置を予定しており、本体工事のための建設機械・資材の搬入や、掘削土砂の搬出に使用する。
橋梁工事や道路改良工事における現在の状況として、1号歩道橋(亀作町地内)では、橋桁を現地で組み立てて一体化するPCコンポ橋の工法を採用し、直近に設置を実施した。
2号橋(亀作町地内)では橋台工事を進めている状態。6号橋(高貫町地内)は、道路幅が広く、橋の重量も大きいため、橋桁は1径間あたり4本、合計12本の架設を予定している。現在、工場で橋桁の製作を行っており、架設時には地域住民への見学会の開催も検討している。
6号橋から県道日立笠間線・亀作ルート交差点までの約600m区間などでは道路改良工事として、盛土や切土、路盤工などの工事が進められている。
地域の安全対策と環境への取り組みでは、事業区間のうち、約880世帯が居住する「四季の丘はたそめ地区」について、市は最大限の配慮を行うと示している。環境調査の結果、振動と大気質は開通後も基準値内と予測されている。
一方、騒音については、道路開通後の予測結果が昼間で67dB、夜間で58dBとなり、基準値(昼間60dB、夜間55dB)を超えるため、対策が必要となる。
これに対し市では、対策案として音の一部を吸収し反射音を軽減できる排水性舗装の採用を検討。基準値内となるよう改善を図る。
また主要な交差点部にはカラー舗装を整備。新設交差点には道路照明を設置し、信号機の設置を要望する。さらに国道293号のセイコーマート前交差点の信号機を歩車分離式に変更することも求める方針とした。
歩行者の安全対策では、歩道と車道の間にはガードパイプ等の防護柵を設置する。特に機初小学校への通学児童の安全を最大限に図るため、交通管理者との協議を進めていく。
10月31日に行われた報告会において藤田謙二市長は同路線について「市民の暮らしと命を守る上で大きな効果が期待される」と強調。
市には三次救急に対応できる医療機関がないため、高度医療が必要な場合は日立市内の日立総合病院に搬送されている状態。新路線の開通により、これまでの搬送時間から約7分の短縮効果が見込まれる。
さらに、通勤環境の改善や災害時の緊急路線や災害復旧の進入路としての活用のほか、フォレストモールやカインズなどの商業施設が並ぶ東部地区へのアクセスが向上し、都市間交流の活発化による地域全体の経済効果が期待される。


















