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県企業局次期経営戦略、鬼怒送水管耐震化へ、小網26年度、川治第2は27年度着手

2025/11/13 栃木建設新聞

 県企業局は12日、次期経営戦略2次素案をまとめ、経営評価委員会(委員長・大森宣暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)の意見を求めた。経営戦略は2026~35年度まで10年間の基本計画で、30年度まで5カ年で実施する施設整備を盛り込んだ。電気事業は小網発電所改修を26年度、川治第2は27年度から分解整備に着手。水道・工業用水道事業は浄水施設の耐震診断を進め、27年度から鬼怒送水管路の耐震化を実施。用地造成は5カ年で34haを予約販売。賃貸ビルは外壁など改修を2カ年、空調設備修繕を3カ年で実施する。

 電気事業の財務面の目標は、5カ年で20億円以上の経常利益を確保。このため老朽化した施設の更新需要の増加に対応する。

 水圧鉄管の耐震化は住宅地や道路近隣の影響が大きい箇所を優先し25年度までに完了。次期戦略では災害リスクに備え生活圏外を含め全施設の耐震化に取り組む。優先順位は板室、深山、木の俣、川治第2で26年度から1カ所ずつを診断。次年度には対策に着手する。全12カ所が29年度までに耐震診断を完了。30年度まで11カ所の耐震化に着手する。

 発電所は小網が再FIT化に向けた改修工事、川治第2は制御盤更新を含む分解点検(オーバーホール)。木の俣、五十里の両発電所の分解点検を実施。

 発電所の大規模改修や分解点検に併せ、発電機軸触れセンサーを設置。27年度完了予定で更新中の今市発電管理事務所集中監視制御システムに故障予測機能を導入。経験に依存しない保安体制を構築する。集中監視制御システム取り込み予定年度は風見、板室、深山、木の俣が27年度、川治第2は29年度。

 水道・工業用水道は毎期の経常利益を確保するため計画給水量の達成と故障などによる計画外給水停止を抑制。管路耐震適合率の向上を目指す。管路の総延長は約60㎞。

 施設の計画的な更新や耐震化では▽アセットマネジメントによる重要度や優先度を踏まえて施設や設備の計画的な修繕と更新▽最新の知見や耐震診断結果を踏まえて施設の管路や耐震化計画を見直す▽軟弱地盤に布設された管路の耐震化▽老朽管更新計画の策定―を実施。

 水道事業では26年度から北那須の浄水施設耐震診断と監視制御設備更新、鬼怒では送水ポンプを更新する。鬼怒の送水管路耐震化は27年度から着手する。

 工業用水道事業は27年度から排水処理池制御盤更新、28年度に油分検出装置の更新、29年度は水質計器更新に着手する。

 用地造成は分譲全区画を販売し収入を確保。5カ年の予約販売目標は34ha。企業の投資意欲が高まっており、分譲用地のストックが不足。市町と緊密に連携し早期造成と分譲に努めていく。

 分譲手法にはみぶ中泉産業団地に導入した区画パターン選択方式を採用。造成工事にあたってはICT施工や遠隔臨場による作業時間を短縮。ビオトープ機能を有した調整池の整備などグリーンインフラを推進して周辺の自然環境に配慮する。

 施設管理事業も毎期の経常利益を確保。ゴルフ場の年間利用者数は3万7000人、賃貸ビルの入居率は100%を維持する。

 ゴルフ場はコース内トイレの更新とカート道路修繕を26年度から実施。防雷シェルターを29年度、30年度にはスタートハウスを更新する。

 賃貸ビルの竣工は03年度。更新周期は外壁・屋上防水が20年、空調設備(大型の空気調和機)は25年、昇降機と給水・消火・受変電・自家発電の各設備は30年。5カ年には外壁改修を26~27年度、空気調和機の修繕は28~30年度に実施する。

 次期経営戦略はパブリックコメントを経て26年2月に最終案、3月末に決定公表する見通し。

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