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県流域下水道評価委、大岩藤 ポンプ2棟26年度に補強工事、幹線管渠2巡目点検へ

2025/11/18 栃木建設新聞

 県流域下水道事業経営評価委員会(委員長・前橋明朗作新学院大学院経営学研究科長)は17日、2024年度の達成度9項目について、中継ポンプ場・処理場の耐震化率と企業債残高を計画とやや乖離がある達成度2,7項目を計画通りの達成度1と評価した。浄化センターのうち大岩藤は沈砂池ポンプ棟の耐震補強工事を放流ポンプ棟と併せ26年度に実施。25年度の取り組みでは鬼怒川上流の滅菌池棟の耐震補強詳細設計、北那須は放流渠の耐震補強工事を実施する。幹線管渠の調査・点検の2巡目に着手し耐震化工事は80カ所。

 大岩藤浄化センターの沈砂池ポンプ棟は耐震診断の結果、補強内容が当初の想定より小規模化。放流ポンプ棟と併せ工事時期を26年度に見直した。

 10カ年計画の経営戦略は24年度が中間年度にあたり、後期計画を時点修正。成果指標は中間年度の24年度に改築・更新を実施した主要設備数(ストックマネジメント累計)を53から50設備に見直し。最終年度の29年度には66から61設備に変更した。減少は資材価格の高騰を背景に日常の点検・補修を強化。優先順位を見定め改築・更新工事を実施する。

 施設の耐震化では24年度の管渠耐震を66%から29%。29年度には100%から56%に見直す。中継ポンプ場・処理場も24年度の51%を45%、29年度は100%を66%とした。

 管渠の耐震化は前倒し実施により想定以上の進ちょくが図れたため、全体数を431カ所から1978カ所に拡大。ポンプ場・処理場では工事費の増大化や施工困難さを理由に達成率を縮小した。

 温室効果ガス排出量の削減は、再生可能エネルギー(消化ガス)導入の設備投資を完了。24年度、29年度とも年4100㌧の削減量としている。

 下水汚泥の有効利用では、これまで産業廃棄物として処理していた汚泥のセメント工場への納入先が決まり、24年度、29年度とも有効利用率100%に設定。

 企業債残高は29年度の46億円を52億円に引き上げ。耐震化工事などの前倒し、資材価格の高騰により年度ごとの新規借り入れの増加が理由。

 24年度の主な工事では、県央浄化センター水処理施設増設(土木・建築工事)が進ちょくし、25年度から機械・電気工事に着手した。26年度の供用開始が見込まれている。

 幹線管渠の調査・点検は対象130・4㎞の1巡目を完了。24年度は管渠修繕の準備期間とし、25年度から2巡目調査に着手した。

 ストックマネジメントの推進は、浄化センターのうち鬼怒川上流が汚泥脱水機と監視制御設備を完了。北那須は監視制御設備の更新が完了する。24年度には巴波川の事業用水槽設備を更新した。

 耐震化のうち管渠は可とう化工事を24年度に216カ所実施。25年度は80カ所行い、延べ794カ所目標値40・1%にまで高める。

 24年度達成度評価のうち企業債残高の達成度2の理由は、耐震化工事の前倒しによる企業債の新規借り入れの増加。委員らは安全を担保した前倒し工事と肯定的に評価した。

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