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盛り土審査体制構築へ/鴨川市内の太陽光発電計画/県総務部

2025/11/19 日刊建設タイムズ

 県総務部は18日、「鴨川市内における大規模太陽光発電施設計画に関する有識者会議」の初会合を県庁本庁舎5階特別会議室(オンライン併用)で開いた。会議は、AS鴨川ソーラーパワー合同会社による鴨川市内の大規模太陽光発電施設計画を受けて設置したもの。熊谷俊人知事は「急峻な地形の中で大規模な盛り土を伴う計画が進められている。メガソーラーに係る問題に向き合う中で、事業者の透明性の確保、設置に伴う盛土規制法が求める高度な技術的基準を満たすための審査体制などの難しい課題などが見えてきた」と話し、委員に対して「行政指導などを適切に行っていくに当たり、念頭に置いておくべき事項などについて幅広く、忌憚(きたん)の無い意見をいただきたい」と求めた。

 鴨川市内の大規模太陽光発電施設計画の発場所は、鴨川市池田字小滝690―1の一部ほか。区域面積は250・0185ha(林地開発許可面積146・2322ha)。開発期間は、2019年4月25日から28年12月31日まで。

 林地開発の事業計画概要は、森林率48・9%、調節池2か所、オンサイト貯留地1か所。発電出力100・32MWとして、14年3月31日にFIT認定を受けた。

 県は、災害防止や環境保全を図るため、法令に基づく事業者への指導などを実施しており、「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」により工事計画などの報告を求める報告の聴取を行い、14日に事業者から報告があった。

 今後は、報告内容を精査し、盛土規制法の適用について確認を行っていく予定。また、安全性が確認されるまでの間の工事の一時中止を求めている。

 「森林法」の関係では、林地開発行為の許可条件に違反する森林伐採が確認されたことから、事業者に対して工事の一時中止と復旧措置計画の提出などを求める行政指導を行っている。

 熊谷知事は5日、佐々木久之・鴨川市長とともに、ヘリコプターで上空から現地状況を確認。「災害防止や環境保全などにしっかりと配慮する必要があることを強く認識した」とコメントした。

 委員は、座長の釜井俊孝・京都大学名誉教授をはじめ、大谷益世・公認会計士、菊地友則・千葉大学准教授、鈴木庸夫・千葉大学名誉教授、橘隆一・東京農業大学教授、中井検裕・東京科学大学名誉教授、増川武昭・太陽光発電協会事務局長、若井明彦・群馬大学教授。

 会議においては▽安全性確保(盛り土の安全など)▽環境・森林の保全▽太陽光発電事業▽開発を伴う太陽光発電事業に対する行政的な関わり・視点――などについて検討する想定。

 今回は、鴨川市内の大規模太陽光発電施設計画に関する事業および各手続きの状況、森林法(林地開発許可制度)の状況、盛土規制法の状況、太陽光発電事業の事業規律(「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)」による対応)、自然環境保全協定、工事予定地における文化財の状況、会議の進め方などを共有した。

 委員からは「渓流盛り土で斜面ということもあり、工程における安全性の担保が必要」との指摘があった。

あいさつする熊谷知事 初会合を開いた 鴨川市における大規模太陽光発電施設計画の区域 現地の状況

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