ひたちなか市(大谷明市長)と、ひたちなか海浜鉄道(吉田千秋代表取締役)が進める湊線の延伸事業に関して、現在申請中の「湊線鉄道事業再構築実施計画」が認定された場合の見通しが示された。予算審議などが順調に進めば、2026年度から詳細設計および地質調査などに着手。2カ年程度で内容をまとめ、最短で28年度の工事着手を視野に入れる。26日には、県に対して支援を求める要望活動が行われた。
ひたちなか市と、ひたちなか海浜鉄道では、湊線を将来にわたり持続可能な公共交通として維持していくために、事業構造の変更や延伸事業を含む利便性の向上に関する施策を盛り込んだ「湊線鉄道事業再構築実施計画」を策定。10月31日に国へ認定申請を行った。
計画の概要として対象路線は、ひたちなか海浜鉄道湊線(勝田)~(仮称)新駅2間の17・4㎞。期間が26~35年度までの10年間。
主な取り組み内容として、国営ひたち海浜公園西口付近への延伸をはじめ、キャッシュレス券売機の導入、トイレ洋式化などを行う。また、運行と施設の維持管理を分ける「みなし上下分離方式」ヘの事業構造変更のほか、既存鉄道施設等の設備更新および維持修繕に要する費用、延伸など利便性工事に係る整備費の負担などを盛り込んだ。
湊線延伸事業では、第1工区の工事施工認可を25年11月に取得済み。第1工区は、阿字ヶ浦駅~新駅1(国営ひたち海浜公園南口ゲート付近)までの延長約1・4㎞。新設1駅の設置を計画し、事業費には59億2300万円を推計する。
また、第2工区については海浜公園西口寄りに新駅2を新設。第1工区の新駅1から2までの延長は1・7㎞。同区間の事業には約67億円を見込んでいる。
国に提出した再構築実施計画は、一般的に審査期間が2カ月程度とされており、早ければ年内に、もしくは年明けにも結果が分かることになる。事業は認定を受けてから開始となり、26年度から詳細設計や地質調査などに取り掛かる見通し。
施工について、現時点で具体的なことは決まっていないが、鉄道運輸機構(JRTT)への委託も選択肢のひとつとされている。詳細については、今後に検討を進めていく方針。
26日には、大谷市長や吉田代表取締役、柳生修ひたちなか商工会議所会頭らで構成する「ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸を実現する会」(会長=大谷市長)が、県に対して支援を求める要望活動を行った。
要望内容は、①安全輸送確保への支援②湊線延伸事業への支援③湊線利用促進に関する施策-の3項目。要望を受けた大井川和彦知事は「延伸が実現できるよう、県も一緒に考えていきたい」と示した。
吉田代表取締役は、31年に開業予定の羽田空港アクセス線(東京駅~羽田空港)について触れ「全世界と茨城がつながる無限の可能性がある」と期待を寄せた。
大谷会長は今後の取り組みについて「国や県からの支援が得られるように活動を活発化していきたい」と話した。


















