厚生労働省は建設機械などの無人運転における安全義務や技能要件について、有識者会議で具体的な措置を検討し、労働安全衛生法令に明記する考え。当面は12月から2026年2月まで関係団体へのヒアリングを進め、6月に議論の中間とりまとめを行う。
遠隔運転や自動運転などの無人運転は、ブルドーザや油圧ショベルなど建設機械のほかに、クレーン、荷役機械、農業機械、林業機械でも行われている。こうした機械については、周辺作業者の危険防止、適切な運転操作の観点から、労働災害防止のために必要な措置を考える必要性が出ている。同省では全体を踏まえた基本的な考え方について整理し、さらに運転制御方式や周辺環境ごとに措置内容や水準を検討する方針。
無人運転機械の安全義務・技能要件の法令への明記については、6月に閣議決定した規制改革実施計画において示されている。
有識者会議は無人運転の機械・作業ごとに作業内容や周辺環境、運転制御方式、技術水準の実態を把握するため、12月から26年2月の会合で無人運転機械のユーザー、メーカーなど関係団体を対象にヒアリングを行う。
ヒアリング対象機械は、無人運転に関する技術が開発されて社会実装に向けた取り組みが進み、労働安全衛生法令に具体的な規定があるもの。車両系建設機械、車両系荷役運搬機械、クレーン、車両系木材伐出機械、農業機械(トラクターなど)が対象となる。
ヒアリング項目は▽無人運転機械の開発・普及状況▽無人運転機械が使用されている、または想定されている作業▽無人運転機械の制御方式や技術水準▽無人運転機械に関する国際規格・国内規格、各国の規制状況や動向―など。また、他機械との衝突(作業場所の立入禁止、誘導員の配置、合図、自動接触検知・停止機能)、周辺作業者への接触防止(カメラの視認性・解像度の確保、通信エラー・セキュリティ対策)、停止時・トラブル時の安全確保(暴走防止措置、通信遮断時における荷の落下防止操作)、運転者に求められる技能の確保(遠隔特有の視野の狭さ、通信エラー・遅れへの対処)などについて、労働災害防止の観点からどのような措置が必要と考えるかを確認する。
有識者会議では26年3月から論点ごとに検討を進め、6月には中間取りまとめを行う。以降は労働安全衛生法令に無人運転を行う場合の安全義務や技能要件を明記するなどの具体的な措置を検討する。
















