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栃木県用地課

県用地課 委託形態含め基準づくり、用地アセス導入検討へ

2025/11/28 栃木建設新聞

 県用地課は、用地アセスメント調査導入の検討を始める。事業予定地の用地取得を円滑に進め、期間短縮やコスト削減、事業の円滑化を図ることが目的。公図混乱や大規模工場立地など事業の遅延要因を極力回避し事前にリスクを調査する。国交省各地方整備局では既に導入しており、用地取得工程管理計画書を作成して全体的なリスクの把握と事業を評価。国の制度を参考に県事業の特徴を踏まえ、当面は基準づくりを進める見通し。国は総合補償士の資格者を有する補償コンサルタントを対象に業務を委託。県は県内コンサル受注を前提に制度を構築していく考え。

 用地アセスメント調査は、事業進捗に合わせ2段階で実施される。第1用地アセスは事業構想段階や環境影響評価時など。構想段階におけるルート帯など最も効率的な線形を検討するための資料に活用。用地課は事業課と連携し全体的なリスクを把握する。

 第2用地アセスはルート形状が決定するなど都市計画決定後に実施。回避困難なリスクについて具体的な調査と分析を行い、用地取得工程管理計画書(原表)を作成する。

 工程管理計画書は第2用地アセスで把握したリスク情報を基に、用地取得期間の短縮に有効な効率化策を検討・導入した上で作成。供用開始時期や工事着手時期を考慮し、より具体的な計画を立案する。

 県では用地リスクを回避する手法として、事業化に先立ち道路のバイパスや砂防堰堤など整備予定地を対象に公図公簿調査を実施するケースを増やしてきた。地権者特定に必要な公図公簿調査は事業実施の可否や着手時期の判断目安になるほか、用地調査・補償の期間短縮につながるなどメリットが多い。

 公図公簿調査の先行実施はバイパス整備では必須で、現道拡幅は規模や状況に応じ判断。事業化に当たり市街地などの公図混乱地区では市町の地籍調査の実施の有無と進ちょく状況を確認している。

 砂防堰堤は事業予定地が公図混乱地区の場合などに適用。平面図化と公図公簿調査を併せて実施。用地取得の難易度を見極め、事業実施の可否や時期などの判断目安としている。

 国が用地アセスメント調査業務に求める総合補償士は2008年、補償業務管理士の資格制度に新たに設けられた。従来の専門7分野の補償業務管理士に加え、用地補償業務全体をマネジメントする専門家。

 24年度登録者数は全国で775人と大半が大手の補償コンサルに所属している。業務内容は用地アセスメント(用地取得上のリスク把握)、用地交渉業務(権利者特定・補償額の説明と交渉など)、補償相談業務、補償金額の算定と照合、公共用地交渉業務など。

 同課では用地アセス導入は、構想から工事着手まで総合的にマネジメントできるメリットを挙げる。国は事業規模が大きく事業数も限られるが、県は事業数が多く大半は中小規模。導入に先立ち用地アセスに適用可能な案件の選別とともに公図公簿調査によるこれまでの成果を踏まえ、基準づくりを進めていく見通し。

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