埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえて国土交通省が設置した対策検討委員会の家田仁委員長(政策研究大学院大学特別教授)が、第3次提言を金子恭之国土交通相と手交した。第3次提言では損傷リスクや社会的影響の大きさに応じた点検調査の頻度化・高度化、メンテナビリティ(維持管理のしやすさ)やリダンダンシー(多重性)を確保する『メリハリ』のある効率的なマネジメントへの転換を提言した。金子国交相は「これまでのインフラメンテナンスからインフラマネジメントへの戦略的転換が必要」と理解を示した。
提言についての説明で家田委員長は、八潮市の道路陥没事故を踏まえ「作業安全の確保意識の徹底は最重要の前提条件」と強調し「膨大な量の施設メンテナンスを進めるにはメリハリをつけて戦略的に行う必要がある」と言及した。そのうえで、新たな技術開発の必要性や財政面での措置なども訴えた。
金子国交相は提言を受けて「委員会から意見のあった施設の複線化も含め、必要な制度の見直し・検討を加速化するとともに、補正予算も含め国土強靱化実施中期計画に基づき必要な予算を確保していきたい」と前向きな姿勢を示した。
このほか第3次提言では、新技術導入やデジタル管理体制の早期確立など、技術面については管理者や事業者に対して「見える化」を推進。市民に対しても調査・結果の公表や下水道カルテの公開などにより「見える化」するよう提言している。
さらに、インフラマネジメントの仕事に光が当たるよう表彰制度や待遇改善の対策を掲げた。市民がインフラメンテナンスに参加したくなるような機運醸成の必要性も指摘している。
また、インフラ全般のマネジメントに関する基本的な方向性も提言。管路と同様に計画・設計・整備・修繕・改築など、全ての局面で「作業安全の確保意識の徹底」を掲げるほか、実現に向けた仕組みとして「人の群マネ」を推進するため、新技術活用促進の支援や専門家派遣など、国による地方公共団体支援の体制を早期に構築すべきとしている。

















