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国土交通省

【直轄業務】スライド制度を試行導入/技術者単価上昇に対応

2025/12/04 本社配信

 国土交通省は2026年度以降に新規契約する、建設・営繕・港湾など全ての分野における直轄の業務委託(測量、地質、土木設計、建築設計、用地補償)にスライド制度を試行導入する。「働き方改革の観点から取り組む履行期限の平準化により、複数年度にまたがる直轄業務が増えている」(同省)ための措置で、技術者単価の上昇に対する価格転嫁対策を強化するもの。この件については、建設コンサルタンツ協会など3団体が11月に行った要望活動の中で、金子恭之国土交通相が了承していた。

 スライド制度は、契約締結後に賃金水準や物価水準が変動した場合に、受注者からの申し出により請負代金額の変更を請求することができる制度で、直轄では「公共工事標準請負契約約款」に規定され工事に適用されている。直轄業務においては13年間連続で設計業務委託等技術者単価(技術者単価)が引き上げられており、業界側が実勢を反映した適正な単価設定を求めていた。

 一方で、適正な公共工事の観点から『スライド額の適切な算定』が適用の前提条件となるため、技術者単価の割合が多い業務委託料への適用は「出来高が確認しづらい」(建コン協)ことが課題となっている。今回は直轄工事に準拠して試行し、フォローアップ調査などの結果を踏まえ、規定化などの拡充に向けた検討を進めていく。

 具体的な実施方法は、複数年度にまたがる直轄業務で、基準日(今回は設計業務委託等技術者単価が決定される26年3月1日を想定)以降未着手である『残業務量』の委託料について、新しい技術者単価を反映した変動額(差額分)のうち1・5%を超える部分について適用する。基準日以降に着手することが適切な項目で、基準日以前に着手していないことが明確に確認できるものについて協議を受け付ける。

 同省は26年4月以降に契約する全ての業務委託の契約図書(入札説明書、特記仕様書)にスライドの適用を明記するほか、ホームページ公表の運用方針に基づき実施する。

業務スライド試行のイメージ

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