2025年度建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会(会長・蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部教授)の第2回会合が4日に開かれ、最新の公共工事設計労務単価を適用し改定したCCUSレベル別年収の試算が示された。今後、同省ホームページに公表される。
レベル別年収は、能力評価に応じた賃金実態を踏まえ、公共工事設計労務単価が賃金として行き渡った場合に考えられる年収を試算したもの。技能者の経験に応じた処遇や、若い世代がキャリアパスの見通しを持てる産業を目指すため23年に明示された。24年7月に策定された「CCUSの利用拡大に向けた3カ年計画」に基づき、活用促進に向けた改定作業が進められていた。
今回の改定では25年3月の労務単価の適用に加え、全国一律で算出していた年収の試算を地域別のブロックごとに算出することで地域の実情を反映。さらに、電気工事、橋梁、内装仕上げ工事、土工など32分野だった対象を、住宅建築関連や土質改良、解体など11分野を加えた43分野へ拡充された。
年収額は従前の下位(上位85%程度)相当の『標準値』と従前の中位相当以上の『目標値』(上位15%)の2つの水準に整理して設定。併記して目標値以上の賃金を適正賃金として支払うことを推奨している。
また、今回のレベル別年収の改定では、賃上げや適正価格の受発注を促進することを目指す「目安」となっていた位置づけが、建設業法上の指導に結び付く「基準」へと見直された。標準値を下回る支払い状況の事業者には、請負契約において労務費のダンピングの恐れがないか重点的に確認する。今後「労務費ダンピングを防止するための公共発注者向けのガイドライン」を策定する予定で、取り組みが強化される。
同ガイドラインは、労務費ダンピング調査の対象となる内容の概説や、使用する入札金額の内訳の事例、具体的な実施方法について留意点をまとめたものとなる。12日に全面施行される『第三次・担い手3法』により、公共工事では労務費ダンピングへの対策が強化される。入札参加業者に「労務費を明示した入札金額の内訳の提出」を求め、発注者にも「提出された書類内容の確認」などの必要な措置が義務付けられる。労務費ダンピング調査はその際の労務費適正性を調査する一つの方法となり、ガイドラインはその指針となる。
協議会は建設業団体82団体と建設業関係団体8団体に加え、国・地方自治体と民間発注者団体16団体も含め、合計106団体で構成される。業界からは「公共は処遇改善に向けた取り組みが進んでいるが民間は遅れている」との指摘も多く、国土交通省の楠田幹人不動産・建設経済局長は開催あいさつで「(処遇改善に向けた施策は)公共と民間の発注者が一緒に取り組むことが不可欠。安心して建設業に従事できる環境づくりへ、積極的な対応をお願いしたい」と呼び掛けた。

















