県森林保全課は、6月に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画に関する2025年度補正予算に9億円程度、26年度当初予算に30億円程度を事業予算として要求する予定であることを示した。同計画の事業予算は主に山地災害危険地区のうち、土石流、山腹崩壊等の発生リスクが高い地域の治山対策に充てる考え。
第1次国土強靱化実施中期計画の計画期間は26年度~30年度の5年間となり、計画期間内に実施すべき施策に全326施策を盛り込んでいる。このうち、推進が特に必要となる施策として全114施策234指標を位置付けており、5年間の事業規模総額はおおむね20兆円強程度としている。
農林水産省では推進が特に必要となる施策の一つに山地災害危険地区などにおける治山対策などを位置付けている。また、山地災害危険地区のうち土石流、山腹崩壊などの発生リスクや被災時の危険性が最も高い地域の整備を推進し、重要インフラや集落などを保全することにより、山地災害から国民の生命・財産を守ることを施策の目標に設定。対策実施例として、土砂流出を防止する治山ダムの整備や流木捕捉式治山ダムの設置による流木対策を挙げている。
県が指定している山地災害危険地区は3月末時点で4571カ所ある。このうち、3213カ所で事業着手しており、残る1358カ所が未着手となっている。事務所別の内訳は◇渋川森林事務所=危険地区348カ所、着手地区254カ所、未着手地区94カ所◇西部環境森林事務所=危険地区832カ所、着手地区610カ所、未着手地区222カ所◇藤岡森林事務所=危険地区649カ所、着手地区495カ所、未着手地区154カ所◇富岡森林事務所=危険地区637カ所、着手地区488カ所、未着手地区149カ所◇吾妻環境森林事務所=危険地区762カ所、着手地区555カ所、未着手地区207カ所◇利根沼田環境森林事務所=危険地区793カ所、着手地区491カ所、未着手地区302カ所◇桐生森林事務所=危険地区550カ所、着手地区320カ所、未着手地区230カ所-となっている。
同課の担当者は国の防災・減災・国土強靱化のための5か年加速化対策予算を活用し、山地災害の復旧や予防、老朽化した施設の長寿命化などの治山対策に取り組んでおり、「25年度以降も第1次国土強靱化実施中期計画の事業予算を活用し、県が掲げる『災害レジリエンス№1』の実現や『自然災害による死者ゼロ』を目指していく」と話す。
県は治山対策の実施に当たって、自然状況により災害が発生しやすく、人家や公共施設に被害がおよぶ山地災害危険地区を優先しているが、新たに土砂災害などが発生した場合も、迅速な対応に努めるとしている。
















