県は、県体育館跡地に美術館、図書館、文書館を一体的に整備する「文化と知」の創造拠点整備運営事業の実施方針骨子案をまとめた。事業手法は民間事業者が設計施工後に県に所有権を移転し、施設の運営維持管理を担うＢＴＯ方式。２０２６年２～３月に実施方針と要求水準書案を公表。１０月頃にＷＴＯ政府調達協定に基づく総合評価一般競争入札を公告し、２７年７月頃に落札者を決定。３３年４月の開館を目指す。

　設計施工期間は２７年１０月頃～３２年３月、開館準備期間は３２年３月～３３年３月、運営維持管理期間は３３年３月～４８年３月。民間の資金、創意工夫や技術的な能力を活用。利用者ニーズに合致した質の高い公共サービスの提供、県の財政負担を軽減する。

　３館を県文化振興の中核複合施設に再編し、将来にわたり県民に愛される拠点を建設。３館が連携し相互利用を促進する。計画地は宇都宮市中戸祭１丁目の３万３６３０平方ｍの市街化区域。第１種住居地域・第２種住居地域。建ぺい率６０％、容積率２００％。

　入札参加資格要件は複数による企業グループ。特別目的会社（ＳＰＣ）への出資者を構成員、出資者以外の受託者や請負者は協力企業。資格審査申請時に構成員か協力企業の立場を明示する。構成員や協力企業以外でもＳＰＣからの受託や請負を認める。

　構成員の中の代表企業が応募手続きに臨む。構成員または協力企業に統括マネジメント、設計施工監理、維持管理運営者（同一者の複数業務可）を置く。個々の資格要件は実施方針公表時に説明。落札者は入札価格だけでなく計画の妥当性や遂行能力を評価する。

　落札者は仮契約までに県内にＳＰＣを設立し、県議会の可決を経て本契約を締結する。ＳＰＣは自主事業、利用促進・魅力向上に関わる任意事業を独立採算制で実施できる。事業者収入は県が支払うサービス購入料、利用者収入。支払い方法は実施方針で説明。

　事業コンセプトは、とちぎの「文化と知」を開く・つなぐ・育む拠点。誰もが誇りを感じあらゆる人々が思い思いに利用し、様々な主体が出会い交流する。市内に立地する現３館の老朽化、バリアフリー未対応、駐車場不足、利用者数低迷といった課題を克服する。

　３館の延べ床面積は３万～３万６０００平方ｍ。整備構想に盛り込んだ各館の延べ床面積は美術館１万２５００～１万５０００平方ｍ、図書館１万５０００～１万８０００平方ｍ、文書館２５００～３０００平方ｍ。施設や設備の共通化で効率性を向上させる。

　現状は美術館が敷地１万２６２７平方ｍにＲＣ造地上５階地下１階建て延べ６１９５平方ｍ。図書館は敷地４７８６平方ｍにＲＣ造地上４階地下１階建て延べ５３２０平方ｍ。県庁南館内の文書館はＲＣ造地上５階地下２階建て延べ１９５２平方ｍ。

　築年数は美術館が５３年、図書館が５４年、文書館は３９年が経過。更地化済みの県体育館跡地は県内各地からのアクセス性に優れ、中心市街地に近接したまとまった敷地を保有。東北自動車と日光宇都宮道路結節点の宇都宮ＩＣから車で約１５分の利便性。