国土交通省は、地方公共団体が独自に行っている建設業者向けICT活用のための助成制度について調査結果をまとめた。これによると、都道府県・指定都市67団体のうち約4割の26団体が補助金・助成制度を実施していることがわかった。主に建設現場での施工やバックオフィス業務のためのICT機器導入費用、研修・訓練費用に助成しているケースが多い。
調査では、建設業者向けICT活用で補助金・助成の「制度あり」は埼玉県・東京都・神奈川県・川崎市・さいたま市など26団体。「実施検討中」は2団体、「過去に制度あり」は4団体、「制度なし」は35団体だった。
制度ありの26団体の補助内容は「工事のためのICT機器導入費用」21団体、「バックオフィス業務のICT機器導入費用」19団体、「ICT機器の操作研修・実地訓練費」11団体、「その他」6団体―となっている(複数回答あり)。
26団体に対する助成制度による効果測定では、制度により「時間・人数・工数の削減」「時間外労働の削減」などが見られるという。また建設業者・従事者へのICTの浸透、地元建設業界から高い評価を得ているとの回答も多い。
同省では生産性向上や労働災害防止のためのICT活用の拡大に向け、助成制度の充実や人材育成などの環境整備の必要性を示している。
◎12団体は専門組織を
都道府県・指定都市67団体のうち12団体では、ICT活用や建設DX普及促進のための専門組織を整備し、職員を配置している。専門組織のある団体は栃木県・埼玉県・東京都・さいたま市・静岡県・三重県・兵庫県・島根県・広島県・山口県・香川県・長崎県で、いずれも直近5年程度の間に組織を整備した。残る52団体は既存組織・職員で対応、3団体は該当する組織・職員がない状態にある。
12団体からは、専門組織整備による効果として「幅広い知見が求められる分野において、より機動的な建設DXの推進が可能」(埼玉県)、「県職員と建設企業の双方に普及促進できる」(三重県)、「建設分野のデジタル化が一層進み、建設産業の働き方改革につながる」(山口県)―などの声が上がっている。

















