国土交通省は、2027年春を目途に建築分野全体の中長期的なビジョンを策定する。2050年を見据えた長期ビジョンと10年を計画期間とする中期計画を設定し、既存建築ストックの活用や建築の担い手などにかかわる課題に取り組む。同省内で16日に開かれた社会資本整備審議会建築分科会の建築基準制度部会で、ビジョン策定に向けた具体的な検討の方向性などを示した中間とりまとめの素案を議論し、了承された。
策定にあたっては既存建築ストックの状況、用途や価値観の多様性、建築に係る技術の進展、建築に係る担い手の状況、昨今の人口動態や地球環境問題、物価高騰などの社会情勢の変化について考慮していく。
具体的な取り組み事項は「建築物・市街地のあり方」「建築を支える担い手」「建築を支える環境・仕組み」を柱に整理する。新築に比べて圧倒的多数をしめるストックの活用や、産学官が推進する事項の整理、ビッグデータやシミュレーション技術の活用促進など、建設業界や社会全体が持続して取り組めるよう、担い手や市場環境整備に関する施策も強化していく。
実施に当たっては、施策間での調整や優先順位などを考慮しながら、地域で顕在化する課題や対応策を早期に反映できる枠組み、技術開発を促す枠組み、情報発信を行う枠組みなどもあわせて検討を進めていく。
中長期ビジョン策定に向けては、建築分科会と建築基準制度部会での議論を踏まえ、26年2月以降に「建築分野の中長期的なあり方に関する検討会」を立ち上げてビジョンの各論についての検討を進める。秋ごろに全体的な中間とりまとめを行い、27年春頃の策定を目指す。途中、産学官や関係団体と連携したシンポジウムの実施も検討する。

















