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(社)埼玉県建設業協会

埼玉でICT経営セミナー開催

2025/12/10 埼玉建設新聞

 関東地方整備局、埼玉県、さいたま市、埼玉県建設業協会青年経営者部会(青経部会)の4者で構成する埼玉県地域建設業ICT推進検討協議会は8日、ICT経営者セミナーを、さいたま市内の埼玉建産連研修センターで開いた。セミナーは、関東地方整備局と県がICT普及へ向けた発注者側の取り組みを紹介。続いて受注者側で、ICTを積極的に取り組んでいる金杉建設と山梨県の湯澤工業の2社が、自社の取り組みを講演。参加者はICT施工への理解を深め、さらなる取り組みの参考にした。

 このセミナーは、地域建設業の経営幹部や発注者を対象に、会場とオンラインのハイブリッド方式で行った。開会あいさつで関東地方整備局大宮国道事務所の隅藏雄一郎所長は、建設現場の生産性向上を目的としてICT施工をはじめとするi-Constructionを進めていることなどを説明。また、ICT施工を経験したことのない企業も多いとし、「ICT施工を普及させるためには、小規模の工事に対してもICT施工を増やしていく必要があると思っている。われわれ発注者も技術面、制度面でも深掘りをしっかり行い、キーワードの1つである技術の内製化では、外部委託ではなく、自社の社員や設備で実施することが持続的にICT施工を行っていくために大事なポイントだ」と述べ、実りのあるセミナーとなるよう期待した。

 続いて埼玉県建設業協会の小川貢三郎会長は「このセミナーは、地域を地盤とする経営者や役員らを対象に、ICT施工のすそ野を広げるために開催している。また発注者にもICT施工の理解を深めていただく内容になっている」と述べたうえで、「担い手の確保育成は待ったなしの状況。働き方改革を進めるとともに担い手を確保していくためにはICTの導入は絶対必要条件になると思う」と強調し、ICT施工に取り組む必要性を示した。

 最初に関東地方整備局と県から、発注者の取り組みが紹介された。関東地方整備局は、土木工事のICT施工の実施状況について、昨年度の直轄では約9割で実施し、C・D等級の企業でICT施工を経験した企業は受注企業全体の約6割と、着実に増加しているとし、中小建設業へのICT普及拡大へ向けて行っている取り組み事例を紹介した。埼玉県は、本年度の建設DXの取り組みとして、ICT技術を活用したPR動画を毎月1回ベースで公開していることや三次元データの活用、オンライン電子納品、表彰制度の拡充を紹介した。

 講演した金杉建設の吉川祐介社長は、地域建設業におけるICT/DX活用について講演。吉川社長はICT導入について「公共土木は、ゴールの見える恵まれた環境にあると思っている」とし、「新たな技術を積極的に採用し、総合評価主体の受注体制に持っていくことを考えた」と、ICT導入のベースにある経営観を説明。その後、同社のインフラDX推進室で行っているICTの内製化をはじめとした具体的な取り組みを説明した後、「ICT導入には各種補助金や税制優遇もあるが、長くあるものではないと思う。こうした制度があるうちに導入しないと、先行している業者と技術格差が広がってしまうのではないか。補助金を使い、有効にICT/DXを導入するのが最善の策だと思う」と呼び掛けた。

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