記事

事業者
国土交通省

用地確保へ地域と一丸/成田空港、京成電鉄を視察/金子国交相

2025/12/23 日刊建設タイムズ

 金子恭之・国土交通大臣は21日、京成電鉄と成田国際空港のさらなる機能強化事業の現場状況を視察したほか、県および空港周辺3市町との意見交換を成田空港地域共生・共栄会議室で実施した。意見交換の後、記者団の取材に応じた金子大臣は、成田空港のさらなる機能強化に絡み「3月末時点の用地取得率は83%で、そこから一定程度の進展していると受け止めているが、用地確保に関してさまざまな課題に直面している」と吐露。成田国際空港に対し、年度末を目標として、必要な用地確保の加速化に向け全力で取り組むよう改めて指示したほか、一丸となって進めていくよう地元自治体に要請した。

 意見交換には、金子大臣、熊谷俊人知事、小泉一成・成田市長、麻生孝之・芝山町長、平山富子・多古町長が出席。また、成田国際空港が立ち会った。

 各首長からは、第2の開港、さらなる機能強化に対する大きな期待とともに、「実現に向けて一緒に取り組んでいきたい」との力強い声があったという。

 これを受け、金子大臣は「地域の皆さまと密に連携しながら、必要な用地確保の加速化を実現させ、さらなる機能強化を着実に進めていく」と決意を新たにした。

 京成電鉄の視察に関しては「旺盛な航空需要に対し、鉄道アクセスの重要性を再認識するとともに、検討が進められている単線区間などの解消の必要性について理解を深めることができた」と振り返った上で、「単線区間の解消によってアクセス鉄道の速度が上がり、成田と東京都心がさらに近づく」との見方を示した。

 空港第2ビル駅の狭あい化への対応を含め、「京成電鉄の要望や計画をしっかりと受け止めながら、何ができるかを考え、前に進めていきたい」とした。

 また、熊谷知事から「成田空港『第2の開港』を支える広域道路ネットワークの早期実現」の要望が寄せられていることを踏まえ、「鉄道・道路の両方にわたって、利用しやすい空港になるよう取り組んでいきたい」と力を込めた。

 視察の場所などは、京成電鉄(成田スカイアクセス線)、成田空港ランプセントラルタワー、成田空港C滑走路予定地、空と大地の歴史館、制限区域内自動運転レベル4、第8貨物ビルだった。

 空と大地の歴史館では、1961年の新たな国際空港建設計画の浮上から、候補地となった富里村(現・富里市)や八街町(現・八街市)などでの住民の反対運動、成田市三里塚を建設地とする案の66年の閣議決定、その後の収用地の代執行や苛烈な反対運動による地域住民などと建設側の衝突(三里塚闘争、成田闘争)、開港の延期、78年5月20日の開港、そして現在に至るまでの歴史について平山儀幸・成田国際空港常務執行役員から説明を受け、事業推進に当たって地元と丁寧に合意形成を図ることの重要性を改めて確認した。

平山・成田国際空港常務執行役員(左)から説明を受けた 県および空港周辺3市町と意見交換を行った 記者団の取材に応じる金子大臣

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら