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国土交通省北陸地方整備局(建設)

「標準労務費」の内容周知/国交省が改正建設業法で説明会

2025/12/24 新潟建設新聞

 国土交通省は、今月12日より改正建設業法が全面施行されたことに伴い、全国10会場で12月施行分の説明会を開催している。22日には北陸地方整備局で、発注者向けと建設業者向けの二部構成で開催され、新たなルールとなる「労務費に関する基準」(標準労務費)の解説を中心に、受発注者それぞれに求める取り組み内容の周知を図った。

 今回の改正は、中長期的な担い手の確保が喫緊の課題となる中、建設工事では適正な労務費(賃金の原資)が確保できていないことが背景にある。「労務費に関する基準」は、適正な労務費が公共工事・民間工事に関わらず受発注者間、元請け・下請け間、下請け間の全ての段階で確保され、技能者の賃金として支払われることを図るもので、労働者の知識、技能その他の能力の評価に基づく賃金支払いなどの処遇確保を建設業者に努力義務化する。中央建設業審議会が同基準を作成し、請負契約における適正な労務費の水準を明確化するとともに、労務費などを内訳明示した「材料費等記載見積書」の作成を努力義務とする。併せて、基準を著しく下回る見積もり・契約締結を禁止し、違反した業者は指導・監督、発注者は勧告・公表の対象となる。

 「労務費に関する基準」は、職種分野ごとに単位施工量当たり労務費の形で、基準を踏まえた適正な労務費の具体値を設定し、適正な労務費を確保することに加え、「CCUSレベル別年収」による、個々の技能者の経験・技能に応じた適正な賃金の支払いを目指すことで、実効性を確保していく。

 発注者・建設業者に対しては▽工事規模などに応じて十分な見積もり期間を設け、受注者から提出された見積書を考慮・尊重する▽提出された見積書に対し、労務費などが著しく低くなるような見積もり変更依頼はしない▽取引上の地位を不当に利用し、総価として通常必要と認められる原価に満たない金額による契約締結はしない―ことを求める。建設業者にはさらに、受注に当たり▽適正な労務費を算出した上で労務費などを内訳明示した見積書を作成・提出し、10年間保存する▽労務費などが著しく低くなるような見積もりはしない―ことの順守を要求する。他にも関係事業者に対し、CCUS能力評価の受験、CCUSレベル別年収水準での賃金支払い、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」による宣言実施と、宣言企業相互の取引先としての優先選定の推進に理解・協力を求めていく。

【写真=12月施行分のポイントを解説した】

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