ひたちなか市(大谷明市長)と、ひたちなか海浜鉄道(吉田千秋代表取締役)が進める湊線の延伸事業を含む「湊線鉄道事業再構築実施計画」が22日付けで、国土交通省関東運輸局の認定を受けた。事業費は総額148・2億円(2026~35年度)。今後は26年度から詳細設計および地質調査などに着手し、2カ年程度で内容をまとめ、最短で28年度の工事着手を視野に入れる。
同計画は、湊線を将来にわたり持続可能な公共交通として維持するため、事業構造の見直しや延伸事業を含む利便性向上策を盛り込んだもの。ひたちなか市と海浜鉄道がまとめ、10月31日に国へ認定申請を行っていた。
対象路線は、勝田駅から(仮称)新駅2間の17・4㎞で、期間が26~35年度までの10年間。国営ひたち海浜公園西口付近への延伸や阿字ヶ浦駅の列車交換設備の整備、キャッシュレス券売機の導入などに126・5億円を充てる。
このうち、延伸事業では、第1工区として阿字ヶ浦駅~新駅1(国営ひたち海浜公園南口ゲート付近)までの延長約1・4㎞を延伸し、新設1駅の設置を計画。事業費には59億2300万円を見込む。
第2工区では、新駅1から海浜公園西口寄りに新駅2を設け、延長1・7㎞、事業費には約67億円を想定している。
このほか、安全・安心な輸送サービスの確保に向け、10年間で21・8億円を措置。レールの重軌条化や踏切設備更新等の鉄道施設等の設備更新、維持・修繕を進める。
再構築事業においては、ひたちなか海浜鉄道が第一種鉄道事業者として運行および鉄道施設等の維持管理を担い、市は県とともに、施設更新や維持・修繕費を全額負担する「みなし上下分離方式」を採用し、経営の安定化を図る。事業効果として35年度には、年間輸送人数145万1000人(4万4700人増)、事業収支は5500万円(9400万円増)を見込む。国営常陸海浜公園や、ひたちなか地区の商業施設、常陸那珂工業団地へのアクセス向上により、観光客の回遊性を高め、地域活性化と新たな需要創出につなげる考えだ。
認定書は22日、関東運輸局で藤田礼子局長から大谷市長と吉田代表取締役に手交された。大谷市長は「認定を受けたことは、本市のまちづくりに大きな前進。延伸事業を計画的に進めていくため、引き続き国の支援を得られるよう取り組んでまいりたい」と話す。


















