いすみ鉄道いすみ線の車両脱線事故を受け、今後の費用負担や路線の廃止・維持などを議論する「いすみ鉄道が担う地域公共交通のあり方検討会議」の第2回が10日、県庁本庁舎1階多目的ホールで行われた。非公開の議事では、いすみ鉄道の利用状況・経営状況などについて、委員から「厳しい」との見方が示された。今後は、沿線住民の利用実態や潜在需要の確認、いすみ鉄道利用者および高校生の動向や意見の把握を行うため、年内をめどに約3900人を対象としてアンケート調査を実施する。
アンケート調査の対象人数の内訳および内容は▽住民=約2000人、日常における交通手段や目的地・時期・頻度など▽利用者=約1000人、いすみ鉄道の利用目的・頻度や意見▽学生=約900人、いすみ鉄道の利用区間・時間帯や代替通学手段の状況――を想定。
委員からは、沿線住民に加えて「勝浦市や御宿町といった、いすみ鉄道と関わりが深い沿線外の住民の意見も把握する必要があるのではないか」との声もあった。
次回(第3回)は、アンケート調査の集計結果を踏まえて開催する。
検討会議は全5回程度の開催を予定。車両脱線事故も踏まえ、地域のニーズを調査・分析し、「全線廃止」「一部廃止」「維持」を比較検討した上で、地域にとって最善策となる公共交通のあり方についての提言を27年度に取りまとめることとしている。
今回の出席者は、会長の田中泰史・県総合企画部国際・交通担当部長、座長の板谷和也・流通経済大学経済学部教授、古竹孝一・いすみ鉄道代表取締役社長、石野正行・いすみ市副市長、西郡栄一・大多喜町副町長、水野伸明・勝浦市企画課長(竹下正男副市長代理)、田邉義博・御宿町副町長など。
田中会長は冒頭、「いすみ鉄道のあり方を考える前提として、利用状況や経営状況などについて既存のデータや過去に実施した調査について説明する。より詳細な把握・分析を行うための沿線地域などを対象としたニーズ調査などの実施方法について議論いただきたい」と求めた。
議事において、いすみ鉄道の利用状況・経営状況に関して、利用者数、年間運輸収入、輸送密度のいずれも開業当初から減少が続いていることを報告した。23年度は営業係数「273」(100円の収入を得るために273円の費用が必要)であり、厳しい経営状況が浮き彫りとなった。
また、いすみ市と大多喜町が地域公共交通計画策定に際して実施したアンケート調査の結果を共有。回答数は、いすみ市1075票(回収率53・8%)、大多喜町1038票(同51・9%)で、いすみ市において「いすみ鉄道を利用する」としたのは2%、大多喜町において「鉄道を利用する」としたのはおよそ2%にとどまった。
いすみ線は、大原駅(いすみ市)と上総中野駅(大多喜町)を結ぶ単線区間26・8㎞の路線。特定地方交通線に指定された国鉄木原線を存続させるため、県および地元自治体を主な出資者とする第3セクター鉄道の路線として、1988年3月24日に営業を開始した。
車両脱線事故は、2024年10月4日に苅谷踏切付近(国吉駅・上総中川駅間)で発生。24年10月には、国土交通省運輸安全委員会から車両脱線事故に関する勧告を受けた。



















