国土交通省はインフラ分野におけるAI実装の基本的な方向性を示す「国土交通省インフラ分野のAI実装に向けた取組方針」を策定した。人とAIが協働する目的として「国民の安全・安心と地域の豊かさの向上を持続的に実現していくこと」を明示。AIを「現場で働く人の能力を拡張させ、生産性向上を加速する基盤」と位置付けて▽直轄事務所の現場でのAI徹底活用▽産学官協働によるAIデータ連携の推進▽現場へのフィジカルAIの導入―の3つを柱に、一体的に推進していく。
実現に向けてはAIの基盤となるデータの連携・整備が必要となるが「一品生産」「不確実な環境」「多層的な事業者構造」「公共性の高さ」といったインフラ現場特有の性質が課題となる。気象や地形、地質などの条件が現場ごとに異なるため、同一条件のデータを大量に収集することが難しい。また、屋外作業が基本で突発的な事象も多く、現実と学習データとのかい離が生じるリスクもある。発注者、元請、下請、専門会社などが関わる重層的な構造や、国や自治体が関与する公共性の高さもハードルとなるため、国が主導してデータの標準化や制度・基準の整備、産学官の連携体制の構築を進め、AIの実装につなげる。
直轄事務所では、受発注者双方によるAI活用を進め、業務変革や生産性向上、技術の継承・高度化につなげる。現場で蓄積した利活用の知見を発信・共有し、自治体や中小企業への展開を図るほか、建設生産管理プロセス全体へのAI導入や、「官民」「建設企業の規模」といった壁を越えた活用を促進する。
産学官協働のAIデータ連携では、現場に通じたデータを「日本の強み」と捉え、質の高いデータを蓄積して標準仕様化し、データ連携環境を強化する。産学官によるAIの実証、評価、改善に取り組むと共に、AIが参照・学習しやすい構造化データとして整備・公開する。民間サービスの開発やユーザー利用の拡大につなげ、AIを介した新たなビジネスモデルを含むオープンイノベーションを促進する。国土交通データプラットフォームを通じたデータ連携を進め、対話型AIも視野にAIを活用したサービス開発環境の構築を目指す。民間によるアプリ開発を促すため、ベンチマーク評価などについても検討を進める。
現場へのフィジカルAIの導入では、担い手不足や災害の激甚化などへの対応を図る。現場ごとに異なる条件や不確実性、多層的な事業者が関与する建設現場の特性を踏まえ、現場実証を通じて技術開発と導入を進める。現場課題に応じた業務プロセスの改善と併せ、産学官連携による共通基盤の整備や現場実証に取り組み、建設機械・設備機械の高度な自律化などにつなげる。
















