国土交通省は、今後の土砂災害対策の方向性を示した提言骨子案をまとめた。人口減少による地域の将来像や持続性を見据えた事業の重点化、気候変動を踏まえた土砂災害対策を推進する。老朽化対策では重要施設の予防保全を優先。担い手不足への対応では、遠隔・自動施工の普及やフィジカルAIを活用した技術開発を国主導で進める方向性を示した。
13日に開いた有識者による「今後の土砂災害対策のあり方検討会」の第3回会合に提示したもの。提言骨子案では①人口減少等への対応②気候変動等への対応③砂防施設等の老朽化対策④対策完了後も管理が困難な箇所への国の関与⑤砂防事業等の担い手確保―の5項目を柱に据えた。
人口減少への対応では、地域の将来像や土地利用の方向性を踏まえ、居住や生活、地域機能を維持すべき区域を面的に保全する観点から、砂防事業の内容や優先度を検討する。都道府県と市町村が連携し、区域全体の土砂災害リスクや対策の効果を評価しながら、計画的に事業を推進。災害後の復旧・復興でも、人口流出や地域機能の低下を見据え、土地利用の方向性との整合を図る。
気候変動への対応では、将来の降雨特性や土砂流出量の変化を定量的に予測する手法を構築し、既設の砂防施設への影響も検証する。土砂・洪水氾濫による大きな被害が想定される流域では、砂防堰堤や遊砂地、流木捕捉施設などの整備を推進。上流域からの土砂・流木の流出と下流河川での堆積・氾濫を一体的に捉えた対策を進める。大規模な林野火災後の土砂流出についても、実態把握や評価手法を構築する。
老朽化対策では、施設の損傷状況に加え、人命や交通網、ライフライン、地域産業への影響などを総合的に評価し、対策の優先度を判断する。特に、地域住民の生活や経済活動に重大な影響を及ぼす重要施設の予防保全を優先。施設の更新や災害復旧では、単なる原形復旧にとどまらず、新技術の導入や耐久性の向上、維持管理の省力化を進める。
国の関与については、直轄砂防事業の完了後も継続的な土砂流出への対応や高度な管理が必要な箇所について、国が管理を継続する要件を明確化する。直轄地すべり対策事業でも、地すべりの変動を完全に停止させることを前提とせず、継続的な観測や追加対策によって影響を抑える管理手法を検討。都道府県の技術力や管理体制なども踏まえ、国が管理の全部または一部を担うことも選択肢とする方針などを盛り込む。
担い手確保では、省人化や生産性向上に向け、通常の砂防工事にも遠隔・自動施工を導入し、地域建設会社の日常的な施工手段として定着させる。当面は掘削・運搬工などを中心に普及を進めるとともに、フィジカルAIを活用した建設機械施工の高度化や技術実証を推進する。中山間地域では、複数分野の業務の組み合わせや技術者・建設機械の共有、災害時の広域応援などにより、地域全体で施工力を確保する体制の構築を図る。
















