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28年度までに候補地選定/育種場跡へ核融合施設誘致

2026/11/03 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は、Starlight Engine(スターライトエンジン、東京都大田区)が計画するフュージョンエネルギー(核融合)の発電実証プラントを常陸大宮市上村田の放射線育種場(ガンマーフィールド)跡地に誘致する方針を明らかにした。2027~28年にも候補地の評価・決定が進められ、30年代の発電実証を目指す計画。大井川和彦県知事が10月30日の記者会見で表明。県北地域の持続的な発展や県内産業の活性化につなげる。

 フュージョンエネルギープラントの研究・開発・販売などを手掛けるStarlight Engineでは、実証プラントの建設候補地を公募。公募では、敷地面積60~100haをはじめ、5年後に建設を開始できること、大容量の受電・送電が可能であること、地盤災害ハザードマップのレッドゾーンに該当しないことなどが主な要件となっている。

 今後は27~28年に候補地の評価・決定や開発・実証を進め、28~29年に建設準備や先行調達、大型資金調達を行う計画。30年代の発電実証を目指し、40年代以降の産業化や商用化、世界展開を視野に入れる。

 フュージョンエネルギーは、軽い原子核同士が融合する際に放出されるエネルギーを利用する技術。発電時に二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物が発生しない次世代エネルギーとして、世界各国で開発競争が進んでいる。国の成長戦略17分野の一つに位置付けられ、40年度までに官民合わせて3兆1000億円の投資が見込まれている。

 候補地となった放射線育種場跡地は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が所有する土地。敷地面積は約62・5haで、1960年に設置された放射線育種場では、ガンマ線などを用いた突然変異育種の研究が行われ、病気に強いナシ「ゴールド二十世紀」をはじめ、リンゴやコメ、ソバ、花卉などの品種育成に貢献してきた。ガンマ線照射以外の突然変異誘発技術の進展などを背景に、2025年9月末に廃止された。

 県は25年10月、国の発電実証プラントの誘致を他県に先駆けて表明。今年6月には県内設置を国に要望しており、今回の応募は誘致に向けた取り組みの一環となる。県内には、量子科学技術研究開発機構(QST)那珂フュージョン科学技術研究所と取引のある企業が集積しており、関連産業への波及も期待される。雇用創出や県内企業との相乗効果による大きな経済波及効果を見込んでおり、誘致の実現を目指す。

 常陸大宮市の鈴木定幸市長も、誘致が実現すれば「大きな経済波及効果が期待できる」とコメント。今後も県と密接に連携し、多角的な視点から情報収集を進めるとともに、必要に応じて設置事業者などによる住民説明会を開催する考えを示した。市民の安全・安心の確保を最優先に対応していく方針だ。

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