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経済産業省関東経済産業局

大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行。新法趣旨、管内動向を調査

2000/06/01 本社配信

 大規模小売店舗法(大店法)がきょう1日から廃止され、大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行される。これまでの経済的な規制から、出店による周辺環境対策に重点がシフトするとともに、地元の街づくりの考えも出店者に微妙な影響を与えるだろう。そこで、「大規模小売店舗立地法相談室」を設置した関東通産局に新法の趣旨、最近の管内の動きなどについて取材した。

 大店立地法は大店法と違い、中小小売業保護の観点ではなく自由競争経済に立ち、環境保持に重点をおいている。店舗の調整基準面積は500㎡以上を対象とする大店法に対して、大店立地法は1、000㎡超となっている。

 そして最大の相違点は運用主体が都道府県と政令指定都市に移行することだ。関東通産局の担当者も「まさに届け出、勧告すべての業務が国から地方になったこと」と特徴点をあげている。

 特に、出店による周辺環境との調和を重視し具体的な運営、つまり独自基準の設定を地方に委ねたことが大いに注目されている。

 管内の動きを見ると、ほぼすべての県は国の指針に従った要綱となっているが、駐車場について言うと、横浜市は店舗面積2万㎡以上の店舗出店に際し660台分の確保を定めるなど国の指針を大きく上回る「上乗せ基準」を盛り込んだ。

 また、東京都は深夜時間帯の規制対象に店舗規模を問わずスーパーも含めるとしている。深夜営業のディスカウント・ストアは周辺住民とのトラブルを生じており、新法をきっかけに規制を行うもの。

 極端な上乗せに対して、関東通産局に訪ねると、「運用は地方に任せるという趣旨は尊重するが、この相談室にクレームが入り、新法の目的を阻害すると思われるような動きについては改善を求める」と述べている。

 商業施設を中心とした街づくりの在り方が問われる法律となっている。地方自治体はただ出店にあたっての審査を済ませばいいのではなく、周辺地域との道路、歩道などのバランスを考慮する-街づくり全体コンセプトを打ち出さなくてはならない。

 出店者も自由な出店の代わりに、周辺の住環境、交通環境の配慮という社会性が厳しくチェックされる。この部分をおろそかにすると、現代の消費者の心は離れるだろう。地域住民、行政、出店者三位一体となって新法を運用し、よりよい街づくりに寄与する法律であって欲しい。



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