(社)日本建築家協会(JIA)新会長に就任した仙田満氏が、記者会見を行った。仙田氏は「極めて重要な時期に会長職にめぐりあい、緊張感を持っている。社会システムの変革に全力投球したい」と語った。
当面の課題としては、資格の問題と設計入札の問題を挙げる。
資格の問題については、JIAが主張する専門資格の創設と、総合的に責任を取る統括建築士の創設を訴えていく。仙田氏は「建築設計界全体を調整し、設計者の独立性を確立したい」と述べる。
設計入札、プロポーザルにおいては「設計者選定応募者にお金を払うべき。そうしなければ設計事務所は疲弊してしまう。また審査には外部の者を入れるようにしてほしい」と要望。こうした要望活動に向けて、JIAでは対社会行動委員会を6月に発足させるという。
このほか「工事監理の施工からの独立」については、今後も社会資本整備審議会において主張する考え。
UIA大会2011東京については「大会を契機に、日本は『設計大国』と対外的にアピールすべき」とし、「地球環境の視点に立った日本の設計技術は、多くの国に貢献できる」と語る。
仙田氏は「日本には、創造性を喚起しない社会システムが多く残る。これを一つひとつ改めていきたい。また建築界は子供に対する視点が希薄。こうしたことに声を大きくしたい」と今後の抱負を語った。
仙田満(せんだ・みつる) 東京工業大学名誉教授、環境デザイン研究所会長。環境建築家・工学博士。平成16年、JIA副会長就任、18年5月の総会で会長に就任。